クエスチョン

相手の主体性を引き出す手法として「コーチング」があります。しかし「ティーチング」や「カウンセリング」などの似たような言葉との違いを明確に答えることは難しいのではないでしょうか?「コーチング」、「ティーチング」や「カウンセリング」の違いを知っていないと状況に合わせて使用することはできません。

そこで今回は、

  • コーチングの基本的な考え方について
  • コーチングとカウンセリング、ティーチングの違いについて
  • コーチングの基本モデルの「GROWモデル」について
  • 基本的なコミュニケーションスキルについて

上記を中心に「コーチング」とは何か?意味ないのか?と個人的な視点で解説していきます。


GROWモデルは、日常的な【問題解決】の思考モデルとして非常に有効な手段になります。【コーチング=Communicationの基本スキル+Process/GROWモデルを用いることで、他者が「目標」に向かって新しい一歩をすすめるためのサポートをすることができます。

では、基本となるコミュニケーションモデルとともに「GROWモデル」とは何かを順に解説していきます。

コーチングとは

まずはコーチングの一般的な意味は、

必要とするスキルや知識の学習能力を高める育成方法論。人間は自己実現に向かって、主体的に、能動的に行動するという人間観に立つコーチングは、「答えは相手の中にある。コーチの役割は答えを相手から引き出し、目標達成の行動を相手に促すこと」が鉄則とされる。このことからコーチングは知識ではなく、あくまでもコミュニケーション・スキルである。

引用:コトバンク

「コーチング」は、コーチからの一方通行に知識を与えるのではなく、相手の中にある答えを引き出す手法であるということが強調されています。単純な作業のやり方であれば、知識を与えることの方が手っ取り早いですが、コーチングについて調べている方や社会の中では「自ら考える事」が重要となってきます。

コーチングの基本モデルとされている「GROWモデル」は、日常的な問題解決の思考モデルとして非常に有効な手段になります。よって、まとめるとコーチングを行うには、

コーチング=Communicationの基本スキル+ProcessとしてのGROWモデル」を用いることで、相手が目標に向かって新しい一歩をすすめるためのサポートをすることができます。

しかし、コーチング以前に対人関係において最も重要とされていることは【信頼関係】を築くことです。信頼できていない人に何を言われても受け入れることはできません。コミュニケーションによって、【思考】【感情】【行為】を他者と共有していくことが求められます。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションとは、相手との間で感情」「思考」「行為」の伝達と共有をすることですこれらの伝達は、以下の様々な感覚機能を媒介として行っていきます。

  • 言語
  • 文字
  • 非言語的な視覚
  • 聴覚
  • 触覚

そしてコミュニケーションは、相手との良好な関係を構築するための、唯一かつ最強のツールであると言えます。

コーチングと類似方法との比較

コミュニケーションは、日常会話や身の上相談からコンサルティングなど専門的な知見や情報に基づくものなど多岐にわたります。その中で代表的な手法の違いを明確にしていきます。

コーチングとティーチング

コーチング ティーチング
  • 質問型コミュニケーション
  • 自立性を尊重して自ら考えさせる
  • 自分の中にある資源から答えを引き出し、自己決定自己解決を支持する
  • 知識や経験をもとに指示や助言を与えること
  • 情報を持っている人が、情報を知らない人に情報を伝達すること

コーチングとカウンセリング

カウンセリング コーチング
  • 自己解決できるような心理的な関わり
  • 潜在能力を引出し、自己実現や目標達成に向けた支援

共通点

  • 気づきと学び、自己成長を支えていく援助的対人関係

カウンセリングとコンサルティング

カウンセリング コンサルティング
  • 本人の自主的な問題解決
  • 専門的知識に基づく情報の提示

共通点

  • 問題解決のための援助行為

コーチングの基本

コーチングは、答えを教えるスキルではなく、自発的な行動を引き出すことで目標達成に導く手法のことです。「答えや情報を提示する」ことではありません。

教える代わりに以下の作業がコーチの役割になります。

  • 目標を明確にする
  • 目標達成に必要な行動を確認する
  • 行動選択肢を増やす
  • 定期的に振り返り、自立して継続できる仕組みを作る

コーチの役割は、相手に問いかける「質問型コミュニケーション」により、「行動」パターンを引き出すことです。

コーチングの3原則

コーチング」は、次の3原則に基づいています。

  • 答えは相手の中にある
  • 相手の見方になる
  • 相手の自主的な行動を促す

それぞれの原則について順に解説していきます。

答えは相手の中にある

「答えを提示したり」「方法を教えるの」は、教師と生徒のような上下関係による指導です。コーチングは、上下関係ではなく、横の援助関係です。

よって、意識して注意することは、

  • 自立して「問題解決」できるように相手の中から引き出す
  • 自主的」な行動を促すこと

繰り返しますが、「相手の中に答えがある」ことを忘れてはいけません。強引に誘導することは、コーチ側のやり方に従わせることなので、コーチングにはなりません。強引にコーチ側の関心のもとに誘導、指導をすると相手の無自覚的な抵抗に合います。

そしていつまでたっても答えが出ない「循環論」に陥ってしまいます。

選択肢を整理したり、確認したり、増やしたりと相手に問いかける形のコミュニケーションによって相手の頭の中の交通整理をするようなものです。コーチ側からの一方向性ではなく、双方向性をもったコミュニケーションによってアイデアを生み出していくことが大切です。

相手の味方になる

同じことを伝えても、相手によって受け取り方は異なります。行動やペースも相手によって異なるため、相手の理解に努めることも必要です。相手の関心に関心を向け、相手を知ろうとする態度が、相手との信頼関係を構築する基本態度です。誤っているかどうかではなく、相手を決めつけたり、レッテルを貼り付けることなく、相手を理解しようとする姿勢に相手は好感を抱きます。

相手の中に答えがある」ので、コミュニケーションを繰り返し、行動の明確化をしていきます。特に「相手を否定することなく」「思考の整理」をする過程を通して「信頼関係」を構築していきます。

相手の自主的な行動を促す

目標に向けて戦略を立てても、現実との間には必ず誤差が生じます。定期的に軌道修正をしながら進んでいくことで、目標に向け計画的な行動を促していきます。失敗が続いたりするとモチベーションが低下してきます。モチベーションが低下してドロップアウトしては意味がありません。相手の心情や目的を考慮して、相手の自主的な行動を促すことができる目標を再設定することも必要になります。

初めに決めた計画に固執せず、状況に応じて変更できる柔軟性をもった計画が必要になります。


ここまでがコーチングの基本原理と一般的な信頼関係構築に求められる内容でした。ここからはコーチングの基本プロセスとしてのGROWモデルを解説していきます。

GROWモデル

信頼関係を築く基本コミュニケーション方法と「GROWモデル」を合わせることで「コーチング」となります。ここからGROWモデルの構成要素である、

  • Goal
  • Reality
  • Resource
  • Option

順番に解説してきます。

Goal(目標の明確化)

抽象的な目標から具体的な目標を設定して、段階的に達成していけるスモールステップ法をとる方がモチベーションを失わいにくく、有効な方法だと思います。またそのイメージを描くことが求められ、そのイメージはよりvivid具体的であればなお良いとされています。いわゆる【ビジョン/VISION】を明確にしておくということです

(※VISIONの意味は、視覚であり、現実としてイメージできるものであるべきです。)

「なりたい具体的なイメージはなにか?」または「理想像」を問いかけることです。

Reality(現状把握)

  • 今いったいどうなっているか?
  • 現状の原因は何か?

根本的な問題は何かということ具体的に掘り下げていくことです。

例え:トヨタ式5回のなぜ会議

Resource(資源)

「目標達成の為に使えるものは何があるか?」という相手の内外を含めた利用できる資源を把握していきます。

  • 情報
  • 時間

マネジメントスキルが必要になるということです。

Option(選択肢の創造)

アイデアに制限を設けないような行動案を創造していきます。ブレーンストーミング的にまずは、無限の可能性を追求し、その中からベストな選択肢を自ら選択していきます。選択肢から現実的かつ優先順位の高いものを選び、実行計画に移していきます。

選択肢を提示する目的は、本人の自由意志による決定によって、その責任を引き受けることです。また選択肢に関してですが、最低3つ以上設けるように習慣化していくことをオススメします。

Will(目標達成の意思)

やる気の確認や計画の策定をしていき、目標達成に向けての具体的な行動約束をします。目標達成のために当然なことですが、まず目標を明確にすることから始まります。目指す先がなければ途方に暮れてしまいます。目標が決まれば、継続していけるように具体的な計画を確認し、見通しをつけていきます。

  • 現在地を確認
  • 現状とのギャップの把握
  • 行動手段の選定
  • どれくらいに到着するか
  • どのルートを辿るべきか

GROWモデルによる問いかけ例

☆目標・課題の設定

  • 「やろうと思っているのに、思うようにいっていないことはどんなこと?」

☆イメージを描く

  • 「仮にそれがうまくできたらどんな状態になりそう?」

☆現状把握

  • 「実際の現状はどんな感じ?具体的に教えてくれる?」

☆問題点の抽出

  • 「現状となっている原因を1つあげるとしたらどんなことが考えられる?」

☆選択肢や行動案

  • 「うまくいくためにどんな行動がとれそう?何ができそう?」

☆意思・約束

  • 「いつからどうやってやる予定なの?」

個人によって異なる受け取り方があるので、個別対応が基本ですが、大人数に実施することもあると思います。

  • 少人数グループの場合は、デモンストレーション
  • 大人数の場合は、各自に自問をしていきます

コーチングとティーチングの使い分け

コーチングは、ティーチングよりも優れているわけではなく、対象者によって使い分けが必要となってきます。

指示(積極的なティーチング) 助言(消極的なティーチング)
  • 曖昧な言葉は避ける
  • 客観的指標や例えを使用し、具体的かつ明確に伝える
  • 「何故そうするのか?」という理由も可能な限り伝える
  • 先の見通しは伝えるが、あまり先までは伝えない
  • 伝わったかの確認をする
  • 「そうそう」などの承認ワードを使用し、行動が指示に即していたか否かを伝える
  • まずは相手を観察
  • 本人の意欲を言語、表情などから読み取り、助言を必要とするか判断する
  • 「〜しましょう」などの指示はしない・矢継ぎ早な助言は控え、一言助言したら、少し見守る
  • 無視されても不機嫌にならない


コーチングが機能する状況

課題の難易度と個人の能力という軸で下記の図を作ると、コーチングが機能する場面は以下の通りになります。

  • 「能力の高い人」が「難易度の高い職務」をするとき
  • 「能力の低い人」が「難易度の低い職務」をするとき

この2パターンがコーチングが機能する場面となります。

  • 前者は経営者やマネージャーなど
  • 後者は新入社員など

以上に当てはまると考えると理解しやすいかと思います。



コーチとして自分の性格を理解しておく

相手はモノではなく人です。コーチの声かけの仕方よりももっと重要なのが、自分が本質的にもっている資質になります。これを理解しておくことで、色々な相手に対応できるようになります。ただコーチには、相手の心情を推し量ったりする感性の豊かさが必要なので、現代人は不得意の方が多いのではないかと思います。

 

まとめ

  • 相手の中に答えがあるという原則
  • 相手の自由意志によって選択し、実行することによって課題を達成する
  • 上下関係による指示では、GROWモデルは有効に機能しない
  • 個人が主体的に問題解決に挑めるような環境設定も必要
  • 周囲の人と協力していくためにも、相手を尊重した協力関係を構築する
  • タイプ別に話し方を工夫することも大切