本記事では、

  • QOLの基本概念
  • QOLに影響する因子
  • QOLを高める方法

について、紹介していきます。

医学の中では絶対的な知識に「QOL/人生の質」という言葉があります。その人らしい生き方の基準に考えられる尺度ですが、主観的なものなので測定することが困難ですが、このQOLが高めることが医療の中で必須とされています。

リハビリテーションの目的にも、全人間的復権という言葉があります。その人らしく生きていく権利を再獲得していく手段でもあります。

(※全人間的復権とは、障害を持ったが身体・精神・社会・職業・経済に能力を発揮し人間らしく生きる権利のことであり、それを目指して行われるのがリハビリテーションである。)

高齢化社会を迎え、特定の状態や年齢になると「生ではなく、死について」を考える機会が増えると言われています。現代では既存のQOLという考え方から「QOD/死の質」という考え方も存在します。

(※QODについては、以下をご参照ください)

今回は、特に

  • どれだけ自分らしい生活を送り
  • 人生に幸福を見出しているか

ということを尺度としてとらえる概念であるQOLについて基本的な概念を解説していきます。

QOLとは?

QOLは、Quality of Lifeの略で、生活の質と訳されます。

一般的に、以下のことを指します。

  • 一人ひとりの人生の内容の質
  • 社会的にみた生活の質

QOLの要素として、以下を尺度としてとらえる概念と考えられています。

  • その人がどれだけ人間らしい生活
  • 自分らしい生活を送り
  • 人生に幸福を見出しているか

幸福とは

  • 身心の健康
  • 良好な人間関係
  • やりがいのある仕事
  • 快適な住環境
  • 十分な教育
  • レクリエーション活動
  • レジャー

など様々な観点から計られます。

治療を受ける個人の観点から、単に命が延長しても、心身の健康が維持されなければ、日々の生活は満ち足りたものとはいえないのではないでしょうか。量よりも質が重視されるようになってきた現代によく取り上げられるようになりました。

 

QOLが医療の中で広がった理由

QOLという言葉が医療の中で広がったのには様々理由があります。

  1. 疾患構造が変わり、慢性疾患が近年増加してきたことから、生命予後よりも生活機能や生活の充実感といった患者自身に深くかかわる指標が求められるようになってきたこと
  2. 医師中心の医療から患者中心の医療モデルが推奨されていること

治療に重きを置いていた医学モデルから、治療に患者という人を治療するという考え方が少し用いられ、患者の意思によって治療も選択できるようになってきました。また病気や障がいを抱えた人をネガティブに捉えるのではなく、人のポジティブ面強みに注目する視点が転換されてきています。

患者自身の意思が反映されることによって、QOLが広がってきていることは非常によい変化と思われます。

しかし、良いことばかりではありません。

患者の意思が反映されることでの問題点

患者の意思による選択ができるということは、「自由度が増えて、医療も良質になってきた」とも感じます。しかし、選択と一緒に自己責任がついて歩くようになりました。

責任とは、人が何かを自分の意思で選択する際に発生するものですが、それをぼやかして選択の結果にまで自己責任が言及されているのが、責任逃れというか押し付けている印象が個人的には強く感じます。

意思を尊重されるということは、自ら選択していかないといけないということです。これもまたストレスになります。選択するということは、基準になる考え方があるのですが、医学はある種ブラックボックス化していて、何が本当かがわかりません。現代は、様々な情報がインターネット上に溢れ、誤った情報によって被害を受けている方もたくさんおられます。

また病院経営がホテル業化しているとも揶揄されています。医師に「大事をとってもう一日入院しましょう」と言われると、なんて親切な医師だと患者側が思うのも当然です。もしこれが不必要な入院であれば、入院を勧める医師が崇められ、適切な対応をしている医師が冷たいと酷評される変わった世の中だと感じます。この原因は明確な基準がないことですが、基準がないのにまるでギャンブルのように自らの意思にまかせられ、責任まで負わされるのは、非常に酷な話ではないでしょうか。

(※リハビリテーションが人を捉えるモデルについては以下参照下さい)

QOLに影響を大きく与える因子

一般的に、下記の順序で強く関わると言われています。

  1. 痛み
  2. お金
  3. 仲間

痛みについても様々あります。

  • 肉体的
  • 精神的
  • 社会的
  • スピリチュアルペイン

慢性的な痛みを抱えていると、生きること自体が辛くなり、QOLも低下します

痛み

ex)末期の癌

現代医学では、痛みは完全にコントロールはできるとまで言われています。

積極的な治療をするのではなく、

  • 痛みをコントロールする
  • 本人の意志を尊重する

緩和ケアも少しずつ、広まっています。

これには、QODに関わってきます。

(※QODについては、以下ご参照下さい)

お金

物質的に豊かになった社会では、幸福の対象であるように自分を犠牲にしても追い求める対象となっています。物質的な快適さを得るために、お金を優先して考える社会に表面的な幸福はあったとしても、本質的な幸福は存在しません。幸福というのは、感覚器官の対象物の中にはありません。

確かにお金は大切で、家族を養うことも、生きていくことでさえも必要ですが、お金だけでは何も解決することはできません。必要な額があれば十分ですが、額は価値観により異なります。なくても困りますが、それを追い求めるあまりに自分を見つめる時間までも犠牲にしては本末転倒です。しかし、人は何かに取り憑かれたのようにお金/欲を求め、さらに多くをもらわないと満足できなくなる程人は、卑しい存在です。人の心も反復減少の法則に従うと言われています。

(自らの欲を満たすためには、前回の刺激よりももっと強い刺激が必要になってきます)

結局、一側面からの考えでは、幸福を計り得ることはでず、多面的な尺度で物事を理解することが重要になってきます。

仲間

周囲に自分を打ち解けられる人がいないのは辛いものです。人間は一人では生きていけず、

  • 「自分の話しを聞いてほしい」
  • 「理解してほしい」

と思うものです。

悩みが増えると自己存在基盤も揺らぎどんどん自己中心的な思考に陥り

人としての尊厳を保つのに必要な、他者への貢献もできなります。

  • 行為=相手に何かしてあげる

人間に与えられた特権は、以下のことです。

  • 善行を行えること

自分の行為による恩恵は考えず、相手に善行をできるということは何よりすばらしく幸福な状態への条件なのです。

善行は周囲の妬みを生む

  • 相手に何かしてあげる=とても気持ちよい行為

ということを無自覚的にも皆知っていますが、

  • 自分が認められない
  • 自分勝手な思考パターンが頭を占拠している

と尊い行為をしている人を妬んでしまうのも人なのです。

妬みは自らを滅ぼします。相手が偽善ばかりやって周囲へのパフォーマンスだと見方をしていますが、このような心が生じれば、自分の心の点検を行うことをオススメします。

動機は他者からはわからない

人が行動する動機は他者からではわからりません。しかし、善い行動は素直に素晴らしいと想える心を養っていくことは大切です。相手への尊敬と感謝を恥ずかしがらずに表現することで養うことができます。してもらったから返すのではなく、また別の人にしてあげることで善循環を回していくことは大切だと思います。

「妬まれたり偽善者だと言われたら嫌だな」と考える人もいると思います。そんな時に勇気をもらえる言葉を以下に紹介します。

(※この文はあのマザーテレサも引用したとされる非常に有名な言葉です。)

逆説の十カ条 ―ケント・M・キース

~あなたの中の最良のものを~

人は不合理、非論理、利己的です

気にすることなく、人を愛しなさい

あなたが善を行うと、利己的な目的でそれをしたと言われるでしょう

気にすることなく、善を行いなさい

目的を達しようとするとき、邪魔立てする人に出会うでしょう

気にすることなく、やり遂げなさい

善い行いをしても、おそらく次の日には忘れられるでしょう

気にすることなく、し続けなさい

あなたの正直さと誠実さとが、あなたを傷つけるでしょう

気にすることなく、正直で誠実であり続けなさい

あなたが作り上げたものが、壊されるでしょう

気にすることなく、作り続けなさい

助けた相手から、恩知らずの仕打ちを受けるでしょう

気にすることなく、助け続けなさい

あなたの中の最良のものを、この世界に与え続けなさい

たとえそれが十分でなくても気にすることなく、最良のものをこの世界に与え続けなさい

最後に振り返ると、あなたにもわかるはずです

あなたと他の人の間のことであったことは一度もなかったのです

まとめ

  • 自由意志が尊重されることによる弊害も生じてきている
  • 医療のブラックボックス化
  • QOLの概念は人と関わる上で必須
  • 相手がいるから自分が存在できると想えるように人を尊重する
  • 自己存在基盤を保つ為にも、日々のセルフケアが必要
  • セルフケアにはヨーガ療法がピッタリ