アーサナ

本記事では、以下を解説しています。

  • ストレスマネジメントとしてアーサナが機能する理由
  • なぜヨーガ=生き方と言えるのか?
  • ヨーガとマインドフルネスの関係性について
  • カルマ・ヨーガの考え方

ランニング

ヨーガの目的の1つに自分自身の肉体と心をつなぎ合わせていくことにあります。身体と心のつながりを保つことは誰にでも必要になります。またヨーガというのはポーズに限らず人の生き方そのものであるとも考えることができます。あくまで呼吸法やアーサナはヨーガの1つの側面です。

(※ヨーガの実践段階【八支則】については、以下をご参照下さい)

現代社会で問題となっているストレス性疾患には心と身体のつながりによる問題が当てはまります。この代表としては、【心身症】があります。
(※心身症については、以下をご参照下さい。)

ヨーガは、以下を達成するために有効な方法です。

  • 不安定な心を静め
  • エネルギーを建設的な方法に導く

心の理解を深め、コントロールすれことによって、人間性向上のための豊富なエネルギーを生み出すこともできると考えられています。しかし、心のコントロールは容易いことではないことは皆様経験されていると思います。ついつい自己中心的なことを考えてしまったり、数々の煩悩に悩まされます。これらを律するために対社会的次元の自己制御方法としてのヨーガの段階も存在します。

(※心を育てる方法としてのヨーガについては、以下をご参照下さい)

ヨーガの重要な経典の1つである【バカヴァットギーター】に以下の1節があります。

(※バカヴァットギーターとは、アルジュナという完全性を求める人物が肉親と対峙しなければならない戦いを正当化する理由が見つからずにもたらされた疑問にクリシュナが答え、疑問を晴らし悟りを得ていく物語です。)

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アルジュナが、クリシュナに尋ねました。

「クリシュナ、あなたは、ヨガはブラフマンすなわち神の心と結びつくことであるといわれましたが、不安定で矛盾に満ちたわれわれの心をどのようにして永遠の真理に結合させることができるのでしょうか。われわれの心は性急で、頑固で、しかも大変わがままで、これを扱うことは、風を扱うのと同じくらいむずかしいものなのですが・・・」

これに対してクリシュナは、

「たしかに、われわれの心は不安定でコントロールすることのむずかしいものだ。しかし、たえまなく修行することと欲望から解放されることによって達成できるのである。自分の心をコントロールできない者は、神との結合をむずかしいものと思うことだろう。しかし、自分をコントロールできる域に達することのできた者は、全力を尽くして修行し、エネルギーを正しい方向に導ければ、神との結合に達することができるのである」

ヨーガというのは心の状態を指す言葉でもあり、完全に穏やかな心の状態というのは、そう易々と保つことはできません。このような心の状態へと至るための実践方法として編み出されてきたものがヨーガです。平静心とは実体がない目標であると言えます。

そこでアーサナは粗雑体としての肉体を用いて、諸々の変化を感じることができます。まずはじめは目に見えるアーサナによって、肉体を心への懸け橋として、習得を目指していくもののほうがずっと簡単であると考えられます。人はついつい過去や未来へと思いを馳せてしまいますが、身体は常に”いまここ”にあります。しかし、”いま”という感覚は過去になり、常に現在の自分自身へと意識を向けていくことが大切です。

(※”いまここ”に意識を取り戻す方法【マインドフルネス】については、以下をご参照下さい)

ハタ・ヨーガ】において、自分の身体を意識することが大切だと言われています。あらためて身体を捉え直すことで、心を現在の時間へと呼び戻します。心が現在という時間にとどまっていれば、過去も未来を思いわずらう憂いは消えていきます。過去−現在もない、今このときだけに生きる存在になれるということです。

ヨーガから離れれば、また同じように過去や未来への不安などに悩ませられるかもしれませんが、大事なのはそうした憂いにとらわれることなく客観視するトレーニングを受けているかどうかということです。継続したトレーニングによって、やがてはストレスをマネジメントすることも難しくなくなり、心の安静を保つことのできる時間も延長していきます。こう考えると、ストレスマネジメントとして【ヨーガ】は有効であると考えることもできますし、ヨーガとは人生そのものであり、ヨーガ=生き方とも言えることになります。

(※ヨーガにおいて語られる【人生の目的】については、以下をご参照下さい)

まとめ

  • ストレスの影響は、最終的に肉体に表現される
  • 心の影響が肉体に反映される
  • 最も粗雑である肉体のコントロールを糸口に心へと間接的にふれる
  • 日常生活上でも常に意識を続けることが求められるので、人のあらゆる行為を意識化する必要があり、その意味でヨーガは、生き方と捉えることができる。