本記事では、

  • 現代医学の客観的知識として、人体の機能システムについて
  • ヨーガ指導や実践をするために必要な各システムの概要について
  • 怪我のリスクを最小限にするために必要な知識について

解剖学

活力のある人生を送り続けるためには、勧められることがあります。

  • 適切な食事をする
  • 正しいレクリエーション活動を楽しむ
  • 物事に対して適切な態度を保つ
  • 建設的な感情を体験し、正しい考えに基づく行動を取る

これはまさしく【ヨーガ的な生活】を実践し続けるということです。

(※特に【ヨーガ療法】については、以下をご参照下さい)

ヨーガは人々に対して、以下の次元の理想的な健康を実現することが可能な方法とされています。

  • 肉体的
  • 精神的
  • 社会的
  • スピリチュアリティ/宗教的

これらの次元の【健康度】が高いことにより、ヨーガ実習者は【ストレス処理能力】が高いことが言われています。現代の情報化社会では、多大なストレスに対処するスキルやストレスに強いことが、どんなスキルよりも有効なスキルとも言われています。

(※ストレスからの回復力と言われる【レジリエンス】については、以下をご参照下さい)

また、科学の進歩によって産業構造は複雑に変化しています。しかし、産業構造の変化によって適切な休息のとり方も異なるはずが、休息のとり方は昔からあまり変化していません。

(※産業構造の変化による休息方法が変化しない問題については、以下をご参照下さい。)

ここ数年【ヨーガ】は、全世界で一大ブームになっています。ヨーガをただのブームで終わらせないためにも世界中で自由に行われているヨーガをある程度統一していくことが必要になってきます。病人だけでなく、健康な個人においても、医学的教育を受けたヨーガ専門家による指導を受けるべきだと考えています。指導者が医療従事者でないといけないという意味ではなく、一定の基準化された最低限の医学教育を受けなければ、健康を目的に行っているはずの【ヨーガ】で、最近大きな問題となっている怪我をする実習者を無くすことはできません。

経験の科学】と称される【伝統的なヨーガ】と【現代西洋医学の客観的知識】を融合することが人々を新しいステージの健康に押し上げるキッカケとなるとなると確信しています。戦略を立てる場合は、相手と自己を知る必要があります。中でも一番理解がし易い、人体を系統ごとにみた人体のシステムについてを基本的なところからご紹介していきます。

人体のシステム

身体の器官には様々な機能があり、それぞれ複数の器官が密接に連携しています。人体の組織や機能は、相互作用する10の重要なシステムから成り立っています。(※分類の仕方は多少異なる場合があります)人体

  1. 骨格系
  2. 筋肉系
  3. 神経系
  4. 内分泌系
  5. 呼吸器系
  6. 循環器系
  7. 消化器系
  8. 感覚器系
  9. 泌尿器系
  10. 生殖系

身体は独立した機能を相互作用するシステムから成り立ち、1つ1つが重要な機能をもっています。では、順番にみていきます。

骨格系

主に骨、靭帯、腱から成り立っています。【骨格系】は、体の動きを助ける【筋肉系】とともに運動系として作用します。人体がその形を保っていられるのは、骨が【フレーム/枠組み】を形成しているからです。骨格にはさまざまな形をした200個余りが組み合わされてできています。骨格は部位によって働きが異なり、頭頸部や体幹は【内臓】を収納する容器の役割があります。

また、骨の外側は【骨膜】に包まれ、その内部の骨質は【緻密質】と【海綿質ら成り立ちます。骨の中心部には、【髄腔】と呼ばれる空洞があり、【骨髄】が詰まっています。【骨髄】は、【赤血球】を作り出す柔らかく、脂肪の多い組織であり、多くの【白血球】や他の【免疫機能細胞もみられます。

また、骨と骨が連結する部分が【関節】です。向かい合った骨の形状がどのようになっているかで、その関節の動きが決定します。この関節が筋肉の力によって、動きが与えられます。【骨格系】と【筋肉系】は、まとめて【筋骨格系】と呼ばれることも多く、主に協働して日常では機能します。

骨格

骨の機能

  • 人体の構造を支える
  • 内臓を保護する
  • カルシウムの貯蔵
  • 血液をつくる

筋肉系

体の動きを管理する骨格系と同様の組織から成り立ちます。【骨格系+筋肉系】で【運動系】を構成します。筋肉は収縮して長さを変化させることによって力を生み出すことのできる組織です。この【収縮機能】で、関節を動かすことが筋肉の機能の1つです。また1つの筋は、身体との位置関係や筋の形状に応じた名前がつけられています。

2種類の筋肉

筋肉】は、意識的に動かすことができるかどうかで2種類に分類されます。

  • 随意筋:普段意識する筋肉。骨格筋
  • 不随意筋:内臓の筋、心筋

不随意筋】とは、【自律神経支配】で意識的に調整することができません。

【骨格筋】は、細い筋繊維(筋細胞)が多数集まって束になったものです。内部には櫛のような構造を繰り返し持っている筋細胞が全体として長さを変えることで収縮することができます。

(※多くの方が使用する「スジ」という言葉は、【筋肉】という意味ではなく、【】のことです。)

神経系

【神経系】は、他のシステムを管理する為、人体において最も重要なシステムの一つとされています。神経系は、身体の至るところに存在し、外部からの情報/刺激を受け取り、どう対応するかを処理する機能があります。筋肉に命令を送り、骨格系を動かすのも神経系の役目です。末梢神経

主な神経系は3種類存在します。

  • 中枢神経系:脳と脊髄
  • 末梢神経系:中枢神経から出て、全身に分布する
  • 自律神経系:末梢神経系の一種

中枢神経系

脳や脊髄に関与します。【中枢神経系】は、感覚器官から得た情報を分析する役目にあります。

末梢神経系

脊髄や脳から分岐する脳脊髄神経から成り立ちます。感覚器官から得た情報を、中枢神経系が処理した司令を、【筋肉】や【腺】などに伝達する役目があります。

自律神経系

心臓の拍動や消化作用のような不随意な活動を管理します。主に内臓などの働きを調整します。【交感神経】と【副交感神経】が管理する系統となります。

内分泌系

体内の特定の臓器に作用する物質を【ホルモン】と呼びます。産生した物質を体外に放出する外分泌腺に対して、毛細血管内に取り込まれて血管中に入り、血液の流れで全身を循環する物質である【ホルモン】を分泌する器官を【内分泌腺】といいます。このホルモンが作用する器官のことを標的器官/ターゲットといいます。【ホルモン】は、全身の器官の働きを調節し、新陳代謝成長性的発達のような体の機能を管理する物質です。

内分泌機能をもっている代表的な器官

  • 脳下垂体
  • 甲状腺
  • 副甲状腺
  • 副腎
  • 胸腺
  • 松果体
  • 膵臓
  • 卵巣
  • 精巣

これらは体中の器官や組織へとホルモンを運ぶ血液中にホルモンを放出します。ホルモンの分泌は多すぎても少なすぎていけず、バランスが重要となります。分泌量が適切であるかを感知し、分泌量を適正化する【フィードバック調節系】という機能も存在します。

呼吸器系

【呼吸器系】は、空気の通り道となる【気道】と、ガス交換のための【肺胞】から成り立ちます。肺の中で気管支は枝分かれして肺胞に繋がります。肺動脈を通して静脈血を肺に送り、動脈血から心臓に戻す経路を【肺循環】と呼び、肺胞で酸素二酸化炭素のやり取りをするという重要な役割を担っています。

肺

 

肺胞

私たちが普段行う呼吸が呼吸器系の役割です。鼻から息を取り入れ、気管を通って、肺胞に運ばれます。酸素は血管壁を通り、血液中に入ります。二酸化炭素は血液によって肺に運ばれ、体外へ排出される仕組みとなっています。。

 

循環器系

別名【心臓系】とも言われます。【循環器系】の役割は身体の輸送系です。循環器系は、体中に血液を運ぶ臓器が関与します。心臓が血液を送り込み、動脈や静脈は血液を運びます。心臓

  • 動脈系:心臓から出ていく経路
  • 静脈系:心臓に向かう経路
  • 動脈血:酸素を多く含む血液
  • 静脈血:酸素の少ない血液

動脈の役割

動脈血】は、心臓の左室から最も大きな【大動脈】へ流れ込みます。大動脈から順に小さな血管に細分化された動脈に分けられ、体中に流れ込みます。血液が【毛細血管】に流れ込むと、細胞に栄養物や酸素を供給し、【二酸化炭素】や老廃物と交換します。

静脈の役割

静脈の役割は、【二酸化炭素や老廃物を含んだ【静脈血】を心臓に戻す割を担います。その後、心臓は使用済みの血液を肺に送り、二酸化炭素と酸素を交換し、再度全身を循環させます。

血液が流れる血管壁は、内膜、中膜、外膜の3層構造になっています。動脈と静脈では、流れる血液の圧力が異なるため、血管壁の構造も末端になるにつれて薄くなります。

消化器系

食べ物を分解して体内に取り込む機能する器官を【消化器系】といいます。口から肛門まで続く1本の消化管がその中心を担っています。消化器系の器官は頭部から頸部、腹部を通り、大半は腹部に存在します。

(※消化とは、口から入った食物が細かくくだかれ、消化酵素によって小さな分子に分解し、体内に取り込む吸収することを言います。)

消化管の壁は、2層の平滑筋があり、収縮と弛緩を繰り返す【蠕動運動】によって食物が移動や混ぜ合わせを行っています。

感覚器系

下等動物では外部刺激は、すべて体表面で甘受しますが、高等動物では一定部位に感覚装置をもち、これに感覚(知覚)神経の終末が連結している。ヒトでは、6種の感覚器が存在します。ニューロン

  • 外皮(皮膚)
  • 視覚
  • 聴覚
  • 平衡感覚
  • 嗅覚
  • 味覚

独立した感覚器としては存在しませんが、これらに身体内部の【深部感覚】として筋、腱および関節などからの位置・運動覚があり、特殊な知覚が存在します。6つの感覚は、それぞれ特有の刺激に対する受容体を持ち、細胞の構造に分化された器官が関与しています。

泌尿器系

【泌尿器系】は、老廃物など体(血液中)にとって不要なものを体外に排泄するための器官系です。水分や【電解質バランス】を調整する機能があります。構成器官と役割については、以下のようになっています。

腎臓と膀胱

  • 腎臓:血液を濾過
  • 尿管:腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ
  • 膀胱:尿を一時的に貯留
  • 尿道膀胱内の尿を体表まで導く

(※尿管、膀胱、尿道を合わせて尿路と呼びます)

生殖系

主に子孫を残すための器官です。生命を受け継いでいくとても重要な期間であるので、生物の本質的な器官であるとも考えられます。精子卵子を作り出す部位である性腺が異なるだけではなく、生殖器系全体として大きく男女差があります。

まとめ

  • 「解剖学は記憶することが多い」
  • 「耳慣れない言葉が多く、頭に入らない」

と思われることが多々あります。

確かにどの解剖学書も分厚く、改めて勉強することは専門職であっても少なくなってきます。しかし、ヨガや運動指導のクラス運営をしている中で、人体の知識があるのとないのでは、雲泥の差があります。運動効果についてももちろんですが、何よりも人体構造を知っていると、怪我をするリスクを大きく低減させることができます。専門家でなくとも、指導者として、相手の身体について保障をする意味でも常に知識を磨いておくことが必要です。