本記事では、

  • 痛みの強さを評価する方法について
  • 痛み評価の重要性について
  • 痛み評価の注意点について

紹介していきます。

痛みは、以下の4つの代表的なバイタルサインに続く、「5番目のバイタルサイン」と呼ばれています。

  • 脈拍
  • 血圧
  • 呼吸
  • 体温
  • 痛み

痛みは、ヒトが生存する上で必要なものですが、生命維持と関係のない痛みは、人生の質/QOLを低下させる大きな要因となります。医療の中の共通概念であるQOLを大きく損なうのも痛みです。

(※QOLについては、以下をご参照下さい)

痛みは、セラピーを展開していく上で無視することはできない重要な情報です。国際疼痛学会/IASP(International Association for the Study of Pain)の定義から痛みは、「主観的な感覚・感情である為,患者が痛いといえば痛みが存在する」と捉えることができます。

(※痛みの基礎知識については、以下をご参照下さい)

「痛みの何を評価するか?」から実際の方法を順に紹介しています。

痛みの何を評価するのか

痛みを評価する場合には、以下のような情報収集が

  1. 原因:痛みのキッカケ
  2. 期間:どれくらい続いているか
  3. 頻度:毎日痛む、
  4. 強さ:今記事で説明
  5. 強さの変化:増悪しているかどうか など
  6. 部位:どこが痛むか
  7. 性質:鋭痛、鈍痛、ピリピリ など
  8. 影響因子:疲労、天気、気分
  9. 活動制限:仕事、家事への影響
  10. 現病歴:これまでの治療、服薬
  11. 既往歴:手術歴など

痛み評価の重要性

痛みは主観的なために表現方法も人により異なり、正確に解釈することは非常に困難です。評価方法は様々ありますが、なかでも特に痛みの強さの評価は、セラピーを行う上で欠かすことはできません。セラピーの中で、主観的な語りを継続して評価していくことも大切ですが、より視覚化していくことでクライエントも納得しやすく、経過観察を容易にするため、セラピー計画や修正していく上で非常に重要視されます。痛みを視覚化することは、非常に重要な意味合いを持ちます。

痛みの強さによる評価

痛みの強さを評価する方法として今回は、4つの方法を紹介します。

  1. visual analog scales(VAS)
  2. numerical rating scales(NRS)
  3. verbal rating scales(VRS)
  4. フェイススケール facial pain scales

視覚的アナログスケール|visual analog scales(VAS)

長さ 100 mm の線の上に、「あなたの痛みはどれくらいですか?」と質問し、強さに合わせて指し示すまたは、線を引いてもらう方法です。

  • 左端は「全く痛みなし」
  • 右端は「今まで経験した一番強い痛み」
  • 上記を説明した上で、現在感じる痛みの程度を線上で指し示してもらうことで、痛みを評価します。

VASまたは、100 mm を 10 等分し,痛みがどの領域にあるかを判定する(11段階評価)があります。

数値的評価スケール numerical rating scales(NRS)

  • 0:全く痛みのない
  • 10:今まで経験した一番強い痛み

痛みの強さを 0 から 10 までの 11 段階として,現在感じている痛みの強さを口頭で伝えてもらう方法です。

用意するものがいらず、非常に簡便にできる評価方法でよく用いられます。

口 頭 式 評 価 ス ケ ー ル verbal rating scales(VRS)

あらかじめ段階的に決めてある痛みの強さのスコアを読み、口頭で答えてもらう方法です。

  •  4段階(0: 痛みがない 1: 少し痛い 2: かなり痛い 3: 耐えられないほど痛い)
  •  5段階(0: 痛みがない 1: 少し痛い 2: 中等度痛い 3: かなり痛い 4:耐えられないほど痛い)

フェイススケール facial pain scales

痛みを、言語や数値ではなく、視覚的に表現してもらう方法です。痛みを表している表情の絵をもとに自分の心情に近い絵を自ら選んでもらうことで痛みを評価します。

(※3 歳以上が対象であり,小児でも使用可能な評価方法です)

フェイススケール

転載:http://www.keio-palliative-care-team.org/patient/hope/diagnosis.php

注意点

痛みの情報収集は重要ですが、クライエントが自分のことを理解してくれていないと感じれば、語りをやめてしまいます。主観的な体験を聞き取るため、関係性構築が前提となります。

良好な関係性を築き、正確に語ってもらえなければセラピーは成立しません。

(※良好な関係性構築方法については、以下をご参照下さい)

また、相手によっては正確に表現することが困難な場合もあります。

  • 難聴
  • 認知機能低下
  • 言語障害
  • 心理的問題 など

これらを考慮した上で痛みを伝えるにあたり,もっとも容易にコミュニケーションがとれる評価方法を患者に選んでもらうことが良いとされています。

まとめ

痛みは、主観的な経験のため、客観的に測定することは困難です。特に強さの評価については、クライエント間で比較することはできません。(一番の痛みが人により異なるため、同じ7であっても、強さは異なります。あくまで個人間の評価に使用します)しかし、客観的な評価にする取り組みは行われています。

痛みはあくまで主観的な語りであることを前提として関わることが、セラピストに求められる態度です。