本記事では、以下について解説しています。

  • 人の行動を観察する方法【ABC分析】について
  • 行動について

ABC

人が何かを成し遂げようとする時に行動を起こします。その行動は心的な意図があり、思考ー感情ー行動の結果として、他者からはその行動によってその人らしさを判断します。しかし行動以前の動力因については客観的に観察しているだけでは正しい目的を知ることはできません。

行動には目的が含まれていますので、何かやましいことを隠しつつされる行動には、不協和を感じることは多いものです。そこで行動に注目して、他者の意図や行動のキッカケとなる行動分析をABC分析で読み解いていきたいと思います。

行動の定義

辞書的に行動とは、

(動物一般が)何かをしようとして、実際にからだを動かすこと

出典:新明解国語辞典

また狭義ではありますが、

「行動」:「『死んだ人』にはできないが『生きている人』が行うこと」

引用:行動分析学入門.産業図書

とも定義されています。

日常の活動のほとんどが、行動として捉えられ、『動詞』で表現できます。例えば、動作、ADL、言語理解、コミュニケーション、自己管理、コンプライアンス自己管理、様々なスキルまでもが行動に含まれます。

ABC分析

人が行うふるまいの全てが「行動」に含まれます。

個人の行動に影響を与える環境条件を「刺激(stimulus)」。行動は内・外環境の刺激の影響を受け増減します。また、「行動」に時間的に先立って存在し、行動を引き出すキッカケとなる刺激を「先行刺激」といいます。

「行動」の結果として、環境から何かしらの応答を受ける応答(feedback)を「後続刺激」といいます。

ABC分析

A⇨B、B⇨C、C⇨Bの関係性がどのように働いているか、「B」がどのようになっているかを詳しく分析することを「ABC分析」といいます。

適切なABCの繰り返しにより、行動がより安定して出現するようになると考えられています。

上の図に乳児を例に挙げていますが、お母さんの笑顔をキッカケに乳児も笑顔になります。そして頭をなでてくれたという刺激に対して、暖かさか何か快と受け取るとさらに笑顔がうまれると捉えることができます。

しかし、快不快はその行動分析の行動主の心が判断しているので、それ以前の刺激との関係性や当事者の心の状態によって影響することは前提として考えます。あくまで人の身体によって体現された行動を客観的に捉えた判断になるので、「相手のことを知るためには不十分である」というスタンスを取りつつ、1つの解釈方法として理解下さい。

行動変容を促すためには

人には意思がありますので、特定の行動を強制することはできません。支配構造に入っても長い目でみて互いに良好な結果を得ることはまずできません。

その例が循環論に陥ることです。

循環論については以下をご参照下さい。

よって、行動の方法や頻度を変容を促すためには行動主である人の周囲の環境や刺激に注目する必要があります。行動の前後の刺激は調整することが可能です。

後続刺激による行動の増減

人の行動に焦点をあてると、行動の増減の法則に分けられます。

・後続刺激によって行動が増加する場合を強化、減少する場合を弱化

・行動を増加させる働きの後続刺激を強化刺激、減少させる刺激を嫌悪刺激と呼びます。

行動に対する応答がない場合に行動は消去され、その行動は減少していきます。

後続刺激を使用したコミュニケーション方法の例

・適切な行動が増える場合:ヒューマンサービスの基本「強化刺激」

・不適切な行動が減る場合:不適切な行動へ対応しない(注目、関心を向けない)消去の原理

・適切な行動が減る場合:適切な行動に対しての対応がない消去の原理

・不適切な行動が増える場合:過保護、自己中の助長、不適切な行動への対応

・プラスの感情的反応が増える場合:自分の行動に対しての強化刺激の繰り返しによるプラスの感情的反応(達成感、意欲、楽しさ)の増加

・マイナスの感情的反応が増える場合:嫌悪刺激の繰り返しによる、マイナス感情的反応(不安、緊張、興奮)の増加

後続刺激を与える時の注意

他者が行動主の行動を自分に都合の良いように変化させようとすると相手の抵抗を受けます。あくまで行動を選択しているのは行動主であり、意図的に相手を変えようとすると無自覚的に支配構造に陥ってしまう可能性があるので注意が必要です。

もちろん、行動に注目していますので、言及はしませんが、セラピーではお互いの関係性を理解し、契約を結んでいるので問題ないかもしれませんが、承諾もなく相手に助言などをしようとすると抵抗を受け、現在の関係性する壊してしまいかねないので注意が必要です。

あくまで行動主の課題であるので、同意なく相手の課題にに介入する権利はありません。ましてや無理に矯正しようとする動機は簡単に見抜かれてしまいます。

先行刺激による行動制御

ある先行刺激のもとで行動すると良いことが生じた場合、先行刺激は行動を制御する機能をもつようになります。行動を制御するようになった先行刺激を「弁別刺激」といいます。

例え:着信がなっている電話を取る=「他者と必要な会話ができる」⇨着信音=「弁別刺激」

暗所(先行刺激)で、「電気をつけて下さい」という言動刺激(受け手側には「先行刺激」)は明るくなる、必要な物が見つかるといった強化刺激となり定着していきます。

先行刺激が行動制御機能、または機能維持のためには強化刺激によってそれらが支持されてなければなりません。後続刺激によって増減する行動の表出はオペラント行動として扱われます。

 

行動にフォーカスを当てる|行動に直接働きかける

例えば、運動をセルフエクササイズと指導をしたとしても、相手が「しんどいからからやりたくない」と言った時に目的にかなう行動(自主的な運動習慣の獲得)をしたい場合には、

まず対象者の行動レパートリーの確認が必要になります。目的にかなう行動が

できないからしていないのか?できるのにしていないのか?安定性があるのか?安楽性がなくできない動作なのか?

ADL評価でいうと、FIMとBIの違いも参考になると思います。

 

確認ができれば、次に原因の仮説を立てていきます。

できない場合は、上記の例では身体的な評価によって機能的な問題であれば、動作練習やつまづいている課題を明確に方法の修正などをしていきます。

しない場合は、理由と評価によって、適切な行動出現頻度を高める目的で刺激入力をします。そして目的に適う行動出現を促していきます。

評価の基本ですが、問題点や課題をミクロ・マクロの視点で捉え、ターゲット行動が決まれば、その行動要素を簡素化し、機能的なまとまりで小さな要素に分ける/課題分析をしていきます。

行動は一連の流れの中で指導されても理解し難いので、動作をしながら、対象者が「こんなこともできるようになっていたんだ!」と気づくところまで連れて行くのがセラピストの腕となります。相手の気づきを促し、あたかも自らが気づいたと思えたり、「やればできるんだ」という自信がつくような関わり方をしていくのがセラピストの技術といってよいと思います。

※うまくいかない場合は行動要素が大きすぎるので、もっと細かいミクロの視点で再度評価をしていきます

細かくしすぎると本来の目的の行動が何かわからなくなることもあります。セラピストが迷子になるとクライエントも迷いますので常に進捗の把握がセラピストには求められます。どこまで細かくするかはターゲット行動により異なります。

 

ターゲット行動を定める注意点

・ターゲット行動は大雑把でも細かすぎてもダメ

・明確に行動として定義され、客観性かつ再現性のあるものを選ぶ(ある程度の客観性のある数字やスケールで示すことのできる測定可能なもの)

・目標との距離感、行動による進捗がはかれないと達成感も感じにくい/後続刺激がない

・本人の言語行動も記録し、心的状態をも推測する

・言葉、エピソードなどは行動全体の変化をみれるが客観性に欠けるので、参考程度にする

・ターゲット行動から課題分析、そして身体的な課題であれば動作分析をすることによって解釈していく。動作分析については、理学療法士の専門分野です。運動学的分析により深く相手を観察することができる。

・器質的、機能的問題があれば、単なる学習だけでは最大の効果が得られないので、それに合った介入方法を選ぶ

 

最大の効果が得るために

様々な視点(身体的、心理的、精神的など)から評価し、最大の効果を得ることをセラピーとしては目的とすべきと思います。

あくまで行動主が決めることなので、相手を尊重する、相手の希望・関心に自己の関心をよせる関わりが求められます。心理的・精神的・身体的な問題なのかを客観的に評価できれば、とれる介入も定まってきます。常に評価的治療となるような関わりを目指し、本質的な課題が何かを探求する姿勢が日常生活上のコミュニケーションにおいてもエッセンスとして利用する意義あることだと考えられます。

まとめ

・あくまで判断・決定するのは行動主である

・支配下構造にならないように自己理解に努めるべき

・偏った理解ではなく、視点のチャネルは複数持っておく