応用行動分析学は人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、社会の諸問題の解決に応用していく理論と実践の体系です。応用行動分析学の土台には、行動分析学が存在し、従来の心理学では、行動を起こす理由を個人に求めていたのに対し、行動分析学では、人の行動や心の動きは多種多様で、個人とそれを囲む環境との相互作用によって生じると考えられています。その人の気持ちや行動の原因を、周囲の環境との相互関係のなかからで観察し考えていきましょうというものです。

これらの手法は教育分野に限らず、医療、福祉、看護、リハビリテーションなど幅広い領域で用いられています。応用行動分析では、ABC分析によって、行動の全体像を把握していきます。

ABC分析については、以下ご参照下さい。

行動主がとることのできるパターン/行動レパートリーについて解説していきます。

 

行動レパートリーとは

目的に適う行動を誘発するために、まずモデルとなるターゲット行動を選定し、その後に行動レパートリーの確認をしていきます。

その人が置かれた状況においてできる行動群のことを「行動レパートリー」と言います。

全く未獲得の行動を教える場合は段階的な指導を行う必要があります。

子どもの頃に自転車を乗る練習をしたときのことを考えてみると、初めから自転車にまたがって、何度も何度も転びながら自転車に乗れるようになったのではなく、多くの方は倒れそうになる自転車を支えを使用していたのではないかと思います。足が地面についた状態や補助輪を使う、後ろから支えてもらうなどのバランス感覚を磨いていったのではないでしょうか。

不得意な要素(自転車の場合では、バランス感覚)を何かで代償して少しずつ支えを減らしていったように、目的行動にも段階的な関わりが必要になります。自分の足で支えることのできない、ペダルを漕ぐ筋力のない段階で、バランス獲得をするアプローチをしても無意味とは言いませんが、順番が異なると多くの方が考えるので実際にやっていないと思います。

歩行動作を獲得していく時に初めから横について一緒に歩くようなセラピストは存在しません。歩行をするにはその前段階の立ち上がり動作を優先したり、立ち上がりの完成形である静止立位保持の獲得を優先します。

一定の判断基準(優先順位)を考慮した、アセスメントが必ず存在します。アセスメントなしに介入することはありません

 

行動レパートリーを拡大する

シェイピング

ターゲット行動に近い、すでに行動レパートリーにある適切な行動に焦点を当て、それが「少しでもできる」またが「出現」すれば強化刺激を与え、行動が安定して出現するようにしていきます。

次に同様な行動には強化刺激を与えず、その行動よりももう1段階ターゲット行動に近い行動にフォーカスし、それが出現すれば強化刺激を与えることを繰り返していき、段階的にターゲット行動に近づけていく方法

行動連鎖化

シェイピングによって特定の行動を獲得できた場合、その特定行動(点)を一連の流れを指導し、行動と行動という点を繋ぐように流れとして連鎖させていきます

特定行動による結果は、その次の行動の先行刺激となり、連鎖していくことで一連の行動として機能していくことになります。これを連鎖化といいます。

行動を連鎖化していくには、行動を要素ごとにわけた上で簡素化した動作手順を一連の行動連鎖の最後の行動要素から自発的行動を形成し、時間的順序とは逆方向にその前の行動要素に戻りながら指導していく方がズムーズに獲得していきます。なぜならば行動の後半部分はより目的に近い行動の為、行動主にとっては達成感や行動の意図が理解しやすく快の刺激(強化刺激)となるケースが多いからと考えられます。

これを逆方向連鎖化といいます。

問題行動を減らすために

①原因を理解/特定すること

②適切な行動を知ること

③その行動を実施し続けること

これに有効なのがABC分析によって、行動の大まかな全体像を確認することです。

問題行動の出現を消去によって減少させ、望ましい行動を強化して頻度を増やしていきます。

また消去を目的に罰を与えることがあります。罰と言っても、体罰やきつく叱るという積極的な罰ではなく、快刺激をなくす、問題行動に反応しないという消極的な罰を利用することで行動に対してアプローチしていきます。

まとめ

行動への介入として、今回は行動レパートリーについて解説しました。

行動はあくまで身体に体現しただけですのでより内的な課題についてはわかりません。

より詳しい行動主の心的な課題や認知に対してアプローチしなければ根本的な解決にはなりません。しかし、客観的に観察する視点としては行動に着目するのは有効だと考えられますので、参考にして頂ければと思います。

・先行刺激と後続刺激が何かを把握する

・自分に介入が許されている関係性かどうかは、前提条件として確認しておく