ヨーガとは、人生の生き方であり、哲学であり、人生の見方です。経験の科学とも呼ばれ、5000年以上の歴史による裏付けられた科学的な行法であると考えられています。現代のヘルスプロモーションにおいても非常に有効な介入方法であると個人的に確信しています。健康増進においても、ヨーガはメソッドであり、ゴールにもなります。手段と目的という到達すべき理想像をも含有された非常に有効な介入方法であると言うことができます。

ヨガ

現代ヨガの多くは「ハタ・ヨーガ」をベースとして改良された流派がほとんどです。ハタ・ヨーガは、肉体を酷使するヨーガとして誤解されていますが、肉体だけにおさまるわけではありません。魂の入れ物である肉体をアーサナやプラーナヤーマによって強靭かつ柔軟にすることで高いレベルで心身のエネルギーを保持することを可能にしています。そして心身の調和を図り、全てのヨーガの究極のゴールである、悟りや解脱に到達することを可能とします。

今回は、「ハタ・ヨーガとは何か?」を解説していきます。


ハタ・ヨーガ(HATHA-YOGA)とは何か?

聖師パタンジャリが心に重点を置いた「アシュタンガ・ヨーガ」を編集したのに対して、ハタ・ヨーガは肉体中心のヨーガと理解されています。これは現代ヨガの影響だと考えられますが、ハタ・ヨーガが運動療法や肉体の柔軟性を獲得する手法であるという理解は誤っています。確かに肉体志向の強いヨーガではありますが、「ラージャ・ヨーガ」の準備段階とされ、ハタ・ヨーガの先には心の自己制御が求められるということになります。

2つのエネルギーシステム

「ハタ・ヨーガ/HATHA-YOGA」のHATHAとは「頑固、強固、力、暴力、努力」という意味をもちます。教義的な意味合いとして、HATHAの「HA/ハ」は太陽、陽エネルギー、「THA/タ」は月、陰エネルギーを指し、相反するの意味の言葉の組み合わせによって成り立っています。これは人間内部のシステムを2つの異なる原理のエネルギーのによってバランスを保持することを意味しています。2つの異なる原理を「呼気―吸気」「陰―陽」「交感神経―副交感神経」「ピンガラー―イダー」の作用によって、バランスを整えることによって、身体システムの維持をします。

目的

ハタ・ヨーガはタントラ(TANTRA/秘密教)を起源としています。【タントラ】はインドの文化に大きな影響を興し、もちろんヨーガにも大きな影響を与えました。ヨーガの究極目標は、「悟り」「モクシャ/解脱」、現代的には、生産性の高さが有能とされる成果主義社会において「損得」「得失」などの2極の対立感情によってもたらされる苦しみや悲しみからの解放を目的としています。

この目的に向かって、伝統的ヨーガは「八支則/アシュタンガ・ヨーガ」に基づき「ヤマ/禁戒」「ニヤマ/勧戒」という対社会的な自己制御からスタートしますが、「ハタ・ヨーガ」は「シャット・クリヤ/浄化法」「アーサナ」の肉体志向から始まり、プラーナーヤーマによって【クンダリニー】を覚醒させることを目標としています。

ハタ・ヨーガにおいても、肉体志向優位ですが、心と肉体のコントロールを目的としています。この合一を可能とする方法として、【サプタンガ/7支則】のヨーガと【チャトランガ/4支則】のヨーガが説かれています。

特徴

ハタ・ヨーガは、伝統的に【ショーダナ・クリヤ/浄化法】から始まり、【アーサナ】【プラーナーヤーマ】【バンダ/緊縛】【ムドラー/印】【瞑想】と進んでいきます。人体のエネルギーは、「ナーディ」と呼ばれる導管を通じて、全身にエネルギーを運搬します。これは血管のように全身に張り巡らされています。肉体を浄化し、バンダとプラーナーヤーマによって、【クンダリニー】と呼ばれるエネルギーを覚醒させ、最終的に悟りの境地に至ることを目的としています。

クンダリニー

クンダリニーとは、螺旋状でヘビの形で表現される潜在的で神秘的なエネルギーを総称する言葉として用いられています。「潜在的なクンダリニー/シャクティ」は【スシュムナー】の入り口であるムーラダーラチャクラにとぐろを巻いて眠っていると考えられています。この眠っているエネルギーを「アーサナ」「ムドラー」「プラーナーヤーマ」「バンダ」などの技法によって、スシュムナー気道を通りながら頭頂部の「サハスラーラ・チャクラ」へ上昇させることで、チャクラが活性化され、行者は「シッディ/超能力」を得ると考えられています。

チャトランガ・ヨーガ

聖典「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」には、以下のよう記載されています。

  • アーサナ
  • プラーナーヤーマ
  • ムドラー
  • ナーダアヌサンダーナ:日常生活の瞑想

サプタンガ・ヨーガ

聖典「ゲーランダ・サムヒター」には、以下のように記載されています。

  • シャット・カルマ:肉体の清浄
  • アーサナ:肉体の強靭さ
  • ムドラー:肉体の不動性
  • プラティヤーハーラ:心の静けさ
  • プラーナーヤーマ:肉体の軽さ
  • ディヤーナ:認知、瞑想
  • サマーディ:解脱

根拠となる教典

ハタ・ヨーガには伝統的な4つの経典が理論の裏付けとなっています。

  • ハタ・ヨーガ・プラディピカ
  • ゲーランダ・サムヒター
  • ハタ・ラットナバリ
  • シヴァ・サムヒター


ハタ・ヨーガ・プラディピカ

15世紀「スワミ・ゴーラクシャナータ師」の弟子である、「スワミ・スヴァートマーラ師」によって書かれました。「チャトランガ4支則」のヨーガを提唱している。

ゲーランダ・サムヒター

ゲーランダの本集を意味し、17世紀に書かれました。チャンドラカパリ師がゲーランダ師に教えを請い、それに応えたゲーランダ師が「ハタ・ヨーガ」の教えを説くという形式の教本とされています。ゲーランダ師は「サップタンガ7支則」のヨーガを提起している。

ハタ・ラットナバリ

17世紀に聖師シュリニヴァーサによって書かれたとされています。84種のアーサナとムドラーについて詳しく述べられている。

シヴァ・サムヒター

シヴァ本集は、シヴァ神と彼の配偶者のパールヴァティとの会話集です。技法についてよりも、思想や哲学に関する説明がされている本集です。

ハタ・ヨガと呼ばれる流派

一般ヨガの大本となっているのは、ハタ・ヨガですが、現代では様々な指導者によって作られた流派が存在します。代表的な流派を以下に挙げます。

  • アイアンガー・ヨガ
  • アシュタンガ・ヨガ
  • アヌサラ・ヨガ
  • シバナンダ・ヨガ
  • ビクラム・ヨガ
  • イシュタ・ヨガ
  • パワー・ヨガ

その他にも4大ヨーガと呼ばれる伝統的なヨーガが存在します。

4大ヨーガ

以下のヨーガが4大ヨーガと呼ばれています。

  • カルマ・ヨーガ
  • バクティ・ヨーガ
  • ジュナーナ・ヨーガ
  • ラージャ・ヨーガ

ハタ・ヨーガの書籍

現地では一般的な書籍ハタ・ヨーガの教典「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」です。現地では700円前後の書籍でした。