本記事では、以下について解説しています。

  • 呼吸法の効果について
  • 安全な呼吸法のやり方
  • 呼吸法と浄化法/クリヤーの関係性について
  • 呼吸法のときの座り方について
  • 呼吸法に適した時間帯について

【八支則/アシュタンガ・ヨガ】において、4部門目になるのが【プラーナーヤーマ】です。これはエネルギー次元の鞘とされています。

(※アシュタンガ・ヨガについては、以下をご参照ください。)

一般的に行われている【呼吸法】のプラーナーヤーマは、人間が感知できるレベルの手段に過ぎません。ヨーガの代表的な書物【ヨーガ・スートラ】には、【プラーナ】についての説明は出てきません。ヨーガスートラにおいて、

  • 【アーサナ】に関して3節
  • 【プラーナーヤーマ】に関して5節
  • 【プラティヤーハーラ】に関して2節

のみの説明に収まっています。

これは、アーサナやプラーナーヤーマなどの外的環境との対応や粗雑な鞘を軽視しているというわけではなく、ヨーガ・スートラの編集者である【パタンジャリ】は、ヨーガスートラにおいては心の面を重要視したということが考えられます。

「アーサナが成し遂げられたならば、プラーナーヤーマを実践する。プラーナーヤーマとは、吸気と呼気を通して動揺を取り除くものである」

【ヨーガ・スートラ Ⅱ−49】

ヨーガスートラでは、アーサナが成し遂げられたらプラーナーヤーマに入っていくことをすすめています。実際にプラーナーヤーマというのは呼吸法だけではありません、その概要を解説していきます。

プラーナーヤーマとは

プラーナーヤーマ=プラーナ+アヤーマという言葉から成リ立ちます。

プラーナとは、

  • 生気
  • 呼吸
  • 生命エネルギー

アヤーマとは、

  • 停止
  • 拡散
  • 留める

エネルギーを身体内に留め、全身へ拡散することによって、エネルギーで満たしていきます。【ヨーガ・スートラ】の中には深く静かな瞑想への補助的な呼吸の仕方が解説されており、静かな【プラーナーヤーマ】により、【プラーナ】の働きや心を落ち着かせて、瞑想に適した状態にしていきます。その手段がプラーナーヤーマということです。つまりプラーナをコントロールすることが、【プラーナーヤーマ】ということです

(※心については、以下をご参照下さい)

【人間五蔵説】において生気鞘は肉体次元の食物鞘と感覚次元の意思鞘の間の鞘です。よって、肉体と心の架け橋の役割をする重要な技法として扱われています。生気を扱うプラーナーヤーマはアーサナと同様に重要な技法ということになります。

(※人間五蔵説については、以下をご参照下さい)

適切な呼吸法により、生命エネルギーが身体を巡り、不必要な毒素は排出され、純粋なエネルギーで心と身体が満たされます。逆に不純なエネルギーが体内に滞ってしまえば、暗い性質が心に影響を与えます。

(※心の性質については、以下をご参照ください。)

悪い生気エネルギーが全身を支配し、食物鞘次元に影響した場合に病として顕現するということです。

「プラーナーヤーマを適切に行ずれば、全ての病はなくなる。しかし、不適切に行ずると、あらゆる病が生じてくる」

ハタ・プラディーピカー第2節16節

効率的なエネルギー循環を導くためにも身体を整え、エネルギーの通り道と考えられるナーディ/気道をスムーズに流れるように浄化していく必要性があります。八支則において、アーサナの次にプラーナーヤーマが位置する理由がここで認められます。

(※ヨーガにおける病理論については以下をご参照ください)

プラーナーヤーマの効果

【人間五蔵説】において、生気に不調和が生じると肉体の生理機能が乱され、肉体中の病的な状態が発生してきます。現代社会で特有な病気とされる、喘息や高血圧、糖尿病、過敏性腸症候群等はこうした心や呼吸の不調和から生じてきていると考えられています。いわゆる【心身症】は、5種の生気の働きを乱し、主生気の働きさえも乱すようになります。

(※心身症については、以下をご参照ください)

(※生気の働きについては、以下をご参照下さい)

生気と肉体は相互関係をもち、エネルギー次元の乱れの影響が肉体に顕在してきます。肉体には【アーサナ】を処方し、エネルギー次元には【プラーナーヤーマ】が用いられます。【5種の主生気/パンチャプラーナ】が主に生気鞘中を巡っています。プラーナーヤーマの効果は、主生気の機能がそのまま効果になります。

  • 血液循環の改善
  • 内臓機能の改善
  • 消化機能の改善
  • 神経系統、自律神経系のバランス調整
  • ナーディの浄化

などのあらゆる効果が期待されます。

呼吸の調整

呼吸は普段、高位中枢で行われ意識することなく自動的に行われています。意識しなくてもできる為、気づかないうちに早く浅い呼吸になっていたり、休止してしまっていたりもします。緊張状態誤った考え方や習慣によって簡単に呼吸は妨げられます。その結果、呼吸器官を通る流れが減少し、呼吸調節をする呼吸中枢にまで影響を及ぼすことがあります。

呼吸によって空気が通るのは気道です。プラーナーヤーマでプラーナが通るのが、【ナーディ】と言われています。気道に貯留物があると空気の流れが妨げられ、器質的な問題が生じます。同様にナーディに問題があるとエネルギーの乱れが生じます。

(※ナーディについては、以下をご参照下さい)

以上のことから、プラーナーヤーマの制御に熟達するためには、【クリヤー】の意味を理解する必要があります。

浄化法/クリヤー

ヨーガで行われている【クリヤー】は身体の各部を浄化する方法です。私たちが普段している「手や顔を洗う」「歯を磨く」「鼻をかむ」こともクリヤーです。しかし、ヨーガで行われている【浄化法/クリヤー】は、より身体内部の内臓までも浄化する種々の方法があります。

(※ここでの詳細は避けておきます。熟知した西洋医学の知識も備えた指導者のもと安全に配慮して行って下さい。方法により危険なものもあります。一般には指導していないものもあります。)

代表的なクリヤー法が、【シャットクリヤー/6種の浄化法】というものがありますので、ご興味のある方は検索してみて下さい。

【6種の浄化法】とは、

  • ダウティ
  • バスティ
  • カパラバティ
  • トラータカ
  • ナウリ
  • ネティ

その中で一般的なクラスで行われているものは、以下くらいでしょう。

  • 視力に関する浄化法:トラータカ
  • 喉から肺までの気道下部の浄化法:カパーラバーティ

(※カパーラバーティも万人がやっていいものでもありませんので、熟練した西洋医学的な知識も備えた指導者の元で実習することをオススメします。)

注意

呼吸法|どんな順番でやっていけば安全か

クリヤーの次に呼吸法を実習しますが、色々な呼吸法が指導されています。特定の呼吸法をしたくもなりますが、まずは【鼻呼吸】と、各セクションでの呼吸を意識することが基本です。

  • 腹式
  • 胸式
  • 肩式
  • 完全(肩・胸・腹を全て組み合わせた呼吸)

そして、意識的に呼吸の速度を遅くすることで十分です。呼気を遅くすることで心臓の働きも沈静化します。その後に意識的に速くしたり、いつものペースに戻したりと繰り返しコントロールしていきます。現段階の呼吸を意識化して、気づきを得ていきます。意識をしにくい場合は、腹部に手をおいたり、鼻に指を当てて空気の出入りを意識しやすくします。呼吸の減速化が十分にできてから、呼息・吸息・止息を意識的に行っていくことがすすめられます。

(※様々な呼吸法も信頼できる熟練した指導者のもとで目的に適ったものを実習していくようします)

空気の出入りの意識化ができることで、外部環境から身体内部までを意識化できるということになります。意識化範囲の拡大が呼吸の1つの目標もなります。

呼吸法の時の坐り方

特にこだわらなくても大丈夫です。正座か足を組んで背筋を伸ばして座りますが、あまり窮屈な座り方だと身体にばかり意識がそれてしまうので、楽に座れる座り方ならそれで構いません呼吸に集中することができる姿勢をアーサナで作り上げていく必要性があります。よって、【八支則】においても、プラーナーヤーマはアーサナに続いて記載されています。アーサナによって、「弛緩」「安定」した座位を保つことができるようになります。

プラーナーヤーマを行うのに適した時間帯

  • 早朝の目覚めた直後
  • 朝食前
  • 昼食前
  • 職場から帰宅した直後
  • 夕食前
  • 就寝前

食後は絶対に避けるべきです。方法により害のないものもありますが、わざわざ食後にする必要性はありません。食後は少なくとも1時間30分程度は空けるようにしたほうが良いでしょう。食後は4時間程空けることが理想的とされています。

まとめ

具体的な行法は他の方に譲るとして、概要を書きました。

  • ずは簡単な腹式呼吸くらいからはじめて、体験していくこと
  • 日常で自分が感情的になった時の呼吸の様子を観察してみる
  • 感情に舵を譲り、呼吸が止まっていたり、過度に早くなってしまっている場合は何故かを考えてみる