擦り傷

本記事では、以下の内容について解説しています。

  • 様々な【外傷】について
  • 【外傷】や【創傷】の違いについて
  • 【創】と【傷】の違いについて
  • いろいろな【創傷】について

擦り傷

日常生活上で転倒して足を擦りむいたり、突指をしてしまったりとトラブルに合うことがあると思います。しかし、その原因や状態などから【ケガ】もたくさんの言葉で使い分けられており、それぞれの言葉の意味を私自身とても曖昧に理解していましたので、今回様々な【外傷】特に【皮膚損傷】についてまとめました。


外傷とは

外傷】とは、「身体的な損傷のうち、何らかの物理的外力、特に力学的エネルギーにより受傷したもの」とされています。もっと簡単にいうと「皮膚の外から受けた傷」ということになります。【力学的エネルギー】とは、【運動エネルギー】と【位置エネルギー】の和を指します。【力学的エネルギー】により受傷したものと言われると「ピンとこない」かもしれませんが、以下のものが該当します。

  • スポーツ外傷
  • 交通事故
  • 転倒又は転落
  • 鋭利な物による損傷 など

スポーツ外傷は動いている人(運動エネルギーをもった人)同士がぶつかったりする場面を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。交通事故も同様で、ある程度スピードを持った物体がぶつかる時に生じるエネルギーによる【外傷】です。また、高所からの【転落】や高いところからより低いところに落ちる【転倒】は【位置エネルギー】による外傷となります。

転倒の定義

転倒】定義は様々に定義され一定されていません。その中でも日本転倒予防学会が掲げている転倒の定義を以下に引用します。

「他人による外力、意識消失、脳卒中などにより突然発症した麻痺、てんかん発作によることなく、不注意によって、人が同一平面あるいはより低い平面へ倒れること

引用:日本転倒予防学会HP

外傷の種類

ひとくくりに【外傷】といってもたくさんの種類があります。例として以下に記載します。

  • 皮膚損傷
  • 筋・腱損傷
  • 靭帯損傷
  • 神経損傷
  • 血管損傷

これらが軟部組織損傷とされるものとなります。

  • 骨折
  • 脱臼
  • 関節軟骨損傷
  • 脊髄損傷
  • 切断

これらも外力によって受ける傷ですので、もちろん【外傷】に含まれます。

創傷とは

【外傷】と似た言葉に【創傷】があります。これも物理的外力を機転としての損傷ですが、特に体表組織の損傷を【創傷】と呼びます。

  • 【創】:身近なものでは絆膏の創で、漢字単体の意味も「きず」です。
  • 【傷】:からだに限らず物にも使用しますが、私たちがよく使う「きず」です。

両者とも「きず」という意味をもつ漢字を使って、様々な「きず」を総称する言葉となっています。皮膚は表面から順に「表皮―真皮―皮下組織」で構成されています。この部分の創傷を【創傷】とされており、【創】と【傷】の違いは、体表組織の損傷の仕方にあります。

  • 創:皮膚の連続性が絶たれた状態。鋭いもので切った時などがこれに当たります。
  • 傷:皮膚の連続性が保たれた状態。皮下組織の損傷も含めます。

創傷

 

 

 

 

 

 

 

創傷の種類

創傷】の形状または受傷機転により分類すると以下があげられます。

  • 切創
  • 裂創
  • 割創
  • 擦過傷
  • 挫滅創
  • 挫創
  • 挫傷
  • 銃槍
  • 爆傷
  • 刺創
  • 杙創
  • 咬創
  • 熱傷
  • 褥瘡

切創(せっそう)

いわゆる【切り傷】のことで、切創も切傷も同じ意味として扱われます。刃物などの鋭利な物で切られた直線的な創のことです。包丁で切ったり、ガラスで手を切ったり、紙で指を切ったりする一般的に鋭い痛みが特徴です。損傷した深さによっては、血管、神経、筋・腱損傷をも伴う場合もあります。

裂創(れっそう)

裂とは、「さく。さける。さけめ」という意味を持つ言葉で、【裂創】となると、「皮膚が裂けてできた傷」になります。創面が鋭利なもので切ったように直線状ではなく、ギザギザな状態となることが特徴で、【切創】などと比べると重度な場合も多いとされています。裂創となるか裂傷は同様に用いられますが、上記図のように少し違いがあります。

割創(かっそう)

割とは、「わる。わける。切る」という意味を持つ言葉で、【割創】は「割れてできた創」のことです。「重量のある刃物(日本刀・出刃包丁・斧など)を打ちおろしてつけた傷。」とされています。引用:コトバンク

重量のある刃物は、一般的な日常生活では目にする機会はあまりありません。重量のある分、それに比例して高いエネルギーを保持しているため、外傷を負った場合は、重度であることが非常に多い損傷です。

擦過傷(さっかしょう)

いわゆる【擦り傷】のこと。皮膚表面がこすられ、表面が剥離した状態の傷のことです。

挫創・挫傷(ざそう・ざしょう)

扉で手を挟んだりした時に生じるのが【挫傷】といいます。鈍的外力によって圧迫されて生じる、皮下組織や筋肉などの損傷のことです。体表に開放性損傷が認められれば、【挫創】と言われます。転倒などによって頭部をうつと脳挫傷と言われます。

挫滅創(ざめつそう)

【挫創】の中で、損傷が深部で広範囲に及んだ重度なものを【挫滅創】と言われます。

銃槍(じゅうそう)

言葉の通り、「銃で撃たれた時に生じる創」です。銃の種類や銃弾によっていくつかの異なる損傷を負います。日本では、特殊な職業の方以外では、損傷を負う可能性は非常に低い損傷です。

爆傷(ばくしょう)

「爆発物によって生じる損傷」です。身近な爆発物はガスなどですが、危険物として慎重に管理されています。近年テロで爆発物が使用されることが多く、その際にできる傷です。爆発による急激な気圧変化によって生じる一次的爆傷から爆風によって飛ばされたものによる損傷、爆風自体による人体への影響などから2次的爆傷、3次的爆傷、4次的爆傷と分けられています。

刺創(しそう)

鋭利なもので刺された創のことです。見た目の創は小さいですが、深さは刺された物や刺し方によって異なります。深部まで到達するので、感染が問題となります。

杙創(よくそう)

【刺創】に似た言葉ですが、鋭いものではなく、槍や杙(杭)による創のことを【杙創】と呼びます。刺さったものによっては、救急処置が必要な場合があります。

咬創(こうそう)

漢字の通りに「咬まれた時に生じる創」【噛傷(創)】のことです。主には動物に咬まれた時に生じるものですが、特に野生の動物に咬まれた場合は菌による感染に注意が必要です。牙の深さによっては、深部まで到達します。



以下は損傷とは、独立して扱われることが多いですが、簡単に紹介していきます。

熱傷(ねっしょう)

これまでの力学的エネルギーによる皮膚損傷とは異なるのが【熱傷】です。【熱傷】とは、いわゆる【火傷(やけど)】のことで、高温による組織損傷のことです。皮膚深部の熱傷では、治癒の際に瘢痕の為に、熱傷部周囲の関節に拘縮をきたす可能性があります。

褥瘡(じょくそう)

一般的に【床ずれ】と言われているのが【褥瘡】です。寝たきりなどによって、体重で皮膚、皮下組織が長時間圧迫されることにより局所の血流障害を来たし、阻血性の壊死が生じる創のことです。皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたりして傷ができてしまうことを言います。臥床患者の【褥瘡】の好発部位は以下の部位が代表的です。

  • 大転子部
  • 仙骨部
  • 腸骨部
  • 踵部

原因としては、外的因子や内的因子が言われていますが、本記事では割愛します。

まとめ

  • 一言【外傷】といっても色々な種類がある
  • 皮膚損傷に関しては、【創】と【傷】の扱われ方の違いを知っておくとその前の漢字で予想がつく
  • 大まかな傷に関しての言葉がわかることで、