コーチ

ABC分析において、行動へアプローチするために行動の前後に存在する、先行刺激と結果/後続刺激への整備をしていきます。目的に適った行動を誘発していくには戦略的に取り組んでいく必要があります。準備や状況に合わせた判断でより適切な方法へ修正する必要があります。戦略には徹底的な準備が大切ですので、準備段階で重要視することが勧められる強化刺激のポイントを解説していきます。

[ad#ad-1]

効果的な5つの強化刺激

適切な強化刺激は、対象者の年齢や経験、環境、背景により異なる為、セラピスト側はできるだけ多くの強化刺激を活用できるように準備しておく必要があります。
以下に効果的とされる強化刺激を記載します。

社会的強化

言語/非言語のポジティブな要素を与える対人関係と信頼感の基本

相手に感謝の言葉を伝えることや笑みを返すなどの非言語メッセージは人との関係性を築くコミュニケーションでは基本的である。

活動性強化

出現傾向が低い行動を行った場合にのみ出現傾向の高まっている行動を実施することをで出現傾向の低い行動の取り組みを上昇させていきます。

あまりやりたがらない勉強をした時に、勉強が終われば、ゲームをしていいよという状況を作ることで、出現傾向の低い勉強をするという行動を増やす取り組みのこと

社会的評価

学習経過、成長をグラフなどの目に見える形でフィードバックを与える。

視覚的なグラフを用いると目標達成までの見通しがつきやすく、意欲を向上することもできるだろうと考えられます。確認した時の強化刺激にもなりますし、今後の取組姿勢への強化刺激ともなります。見通しのつけ方を学んで、後々はセルフフィードバックによって、自己マネジメントを学んでいく次の項につながっていきます。

自己評価

成果を自己記録していくことで目標との差異を確認します。さらに目標達成していくためにはどうしたらよいだろうかと、セルフフィードバックにより、第三者なしでも行動を維持していくことを目指していきます

行動内在型強化

学習経過に伴って徐々に1人で出来ていると感じられる場合、学習遂行そのものの中に強化刺激が組み込まれていることになります。教師やセラピストがいない状況でも自ら行動を誘発する動機、目的を考え行動することを目指していきます。

 

外部の環境からの刺激によって行動が獲得された後は、経過と結果が行動の中に内在化した状態で行動が働くように移行させていくことが必要です。いつまでも誰かからの指示待ちになってしまっては、1人では行動ができない人となってしまいます。ある種セラピストは潤滑剤として、行動主であるクライエントがスムーズに学習していけるようなポイントやコツ、又は気づきを得ることのできるヒントを適宜与えることができる必要があるということです。

 

強化刺激の5原則

強化刺激の与え方にも工夫は必要です。ずっと同じを刺激を繰り返してもいけませんし、即座に刺激を与えないと「いつのこと?」疑問を抱かしてしまう可能性もあります。それらから強化刺激を与える際に注意する5つを例示します。

即時性

行動の直後に与えられる場合が最も効果的とされています。すぐに与えられない場合は、どういう状況であれば強化刺激が与えられるかのルールを明示し、理解してもらうことが必要です。

多様性

できるだけ色々な種類の強化刺激を与える。同じ言葉や同一人物ばかりでは飽きてしまう可能性もあります。時には第三者に評価を依頼することも有効でる可能性があります。

明示性

強化刺激も相手が快だと思わなければ何も意味がないわけです。よってできる限りわかりやすい形で示す必要があります。特にセラピーの初期ではさりげない刺激では対象者に認知されません。クライエントにとってわかりやすい形で示すことが必要です。

具体性

単純に「いいですよ」、「うまくいってますよ」と言われても何が良いのかがわかりません。よって、より具体的な内容に対しての評価を伝えることがよいとされています。

速度や反復回数などの増えたり、減ったりすると良いことがわかりやすい指標を使うとより理解しやすい。

 

関連性

行動と直接関連した強化刺激が有効です。身体的な動作について強化する場合は、右足が上がることを強化するならば、右足が挙がれば、右足を触れる等の触覚刺激を入力することです。触覚刺激は理解しやすいですが、特定の意味があればその他の5感を用いて入力することも効果的だと思われます。

大切なのは相手が理解しやすい刺激を入力することと、どれか1つではなく、混乱しないように計画的に刺激を入力していくことです。

心の作用も並行して考えるべき

強化刺激をずっと与えていくわけにはいきません。最終的には自分で判断して、行動していく姿勢が望まれます。よって、セラピストからの刺激は、介入初期は強化刺激を多くし、行動の安定とともに、徐々に減らしていくことが良いとされます。行動に内在化するように取り組んでいくほうが理想的とするのが行動療法的な介入になります。

しかし行動主は人間ですので、その動力因となるを無視することはできません。強化刺激を与えられれば少しずつ自立していくのは明確な目的がある人物です。それ以外、特に自己効力感の低い人物であれば、おそらく刺激をもっと欲しいと本復減少の法則に従い、満足できなくなってしまいます。強化刺激を得ることが目的になってはいけないということです。

よってセラピーの継続に伴い、関係性が少しずつ深まってくれば、心の部分のアセスメントを並行していくことが重要です。

ABCも行動をベースとした、全体像の把握で、大きなマップを作る作業に似ています。詳細な部分についてはやはり人間らしい心的な作用を避けて考えることはできませんので、あらゆる観点から観察できることがセラピストに求められます。

セルフマネジメント行動

一般的に、指示(A)→行動(B)→達成感(C)→・・・と徐々に指示がなくても行動をスタートし、完結できるようになりますが、指示がない場合でも遂行される行動をセルフマネジメント行動といいます。
例えば.わからない言葉があれば、すぐに調べる子ども

他者に指示されて初めて行動に移すのではなく、自らの気づき(自己教示)によって、自ら行動し、自らに強化刺激(自己強化)が定着していくことが求められます。これは社会にでたときもとても有効なスキルの1つとして認められています。

自らの行動の意図や目的を理解し、自分に責任をもって行動していれば、備えている能力と考えられますが、結構難しいものです。それと同時に高い自己効力感を持っていれば、よりセルフマネジメント行動の強さを表すインジケータと考えても良いでしょう。

 

まとめ

・行動ばかりに着目していても人間には心があるので解決はしない

・行動分析はマップを作るようなもので、家の中のコーディネートをするには心を観ないといけない

・セラピストには多くの観点から観察できる力が必要