本記事では、以下を解説しています。
- ストレスによって起こる身体の生理反応
- ヨーガによるストレスマネジメントの期待について
- アーサナがストレスマネジメントとなることについて
- 意思鞘次元のストレスへのアプローチについて
ストレスが大脳皮質で感知されると、大脳皮質は神経伝達物質(ノルアドレナリン、アドレナリンなど)を分泌し、それを受けた視床下部が、脳下垂体にホルモンの分泌を促す指令を出します。脳下垂体は、副腎皮質刺激ホルモンなどの各種刺激ホルモンを放出し、それを受けた副腎皮質や甲状腺、膵臓、卵巣、精巣といった内分泌腺が各種ホルモンを分泌し、身体の代謝を円滑にし、全身がうまく活動できるように調節していきます。
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ホメオスタシス
暑さや寒さなどの外部環境の変化に対して、身体は全身の器官が協力して、常に安定した状態を保とうとします。これを生体恒常性の維持機能【ホメオスタシス】と言います。ホメオスタシスが働くためには、神経系とともにホルモンが重要な役割をします。中でも特に重要なのが、副腎皮質から分泌される抗ストレスホルモンであるコルチゾールと、副腎の髄質から分泌されるアドレナリンです。
コルチゾール
- 抗炎症作用
- 肝臓のグリコーゲンを増加
- 血圧を上げる
上記を代表的な作用として働くホルモンです。
アドレナリン
- 血管の収縮
- 瞳孔の拡大
- 血圧上昇
- 腸弛緩
- 気管支拡張
- 心拍数増加
上記を代表とした作用があります。外敵やストレスから体を防御するために働きます。
ストレスによる反応
過度なストレスによって内分泌腺がホルモンを分泌し続けた結果、内分泌機能が働かなくなりホルモン分泌不足になると、体の防御能力が落ちてしまいストレスによる病が起こると考えられています。
(※ストレスによる病の代表例は、以下をご参照下さい)
ストレスにより、コルチゾールの分泌量が上昇すると、
- 空腹時血糖
- 血圧
- 中性脂肪値
これらの数値が上昇するとともに、インシュリン耐性が増すことがわかっており、これらは心筋梗塞の危険因子であり、すべてが重なると相乗効果でますます危険な状態となります。
コルチゾール値が上昇すると骨密度が低下、うつ病を引き起こしやすくなったりするほか、免疫機能にも影響が及ぶと考えられています。慢性的なストレスを抱えている人は、ウィルスに対する抵抗力が低下し、症状悪化や体調を崩したりしやすくなることも指摘されています。
コルチゾールは、記憶障害にも関連があると言われています。つらい出来事ほど心にくっきりと刻み込まれるのもコルチゾール値の高さが一因となっていると言われており、その一方で慢性的にコルチゾール値が高いと物忘れがひどくなったり、脳に恒久的な変化をもたらす可能性があります。ストレスとアルツハイマー病や認知症の研究結果も報告されています
ヨーガとストレスマネージメント
アーサナを実習することで、ストレスにより影響される肉体次元の問題を解決することができます。これは一般的にヨーガの効果とされていることですが、アーサナはゆっくりとした身体の動きともに、心の働きもゆっくりとなることも期待されています。
(※ストレスマネジメントにアーサナが有効である理由については、以下をご参照下さい)
身体の動きとともに規則正しいゆっくりとした呼吸法も生気鞘次元での身体の調和の実現を目標として実習されています。さらにヨーガ実践中も常に意識化を行い、積極的なリラックスに努めることで心の働きを制御できる力を身につけられるようになるので、意思鞘次元で不調和を正すことができるようになるとヨーガにおけるストレスマネージメントでは考えます。
(※意思鞘次元のストレスマネジメントについては、以下をご参照下さい)
これら目的で実習されるヨーガは外的なヨーガと呼ばれる、ヨーガの1側面です。意思鞘のさらに奥に物事を判断する理智が存在し、さらに奥に記憶袋たるチッタが存在するとヨーガでは考えられています。
(※ヨーガにおける人間観については、以下をご参照下さい。
ヨーガの重要な聖典であるバガヴァット・ギーターには以下のように、ヨーガにおける3つの重要な原理として、
- 肉体をリラックスさせる
- 呼吸の速度を遅くさせる
- 心の働きを静める
これらを目的として人は行為することが大切だと記載されています。