本記事では、以下を解説しています。

  • ヨーガにおいて重要な概念であるプラーナ/生気について
  • 生気鞘の中での作用過程について
  • プラーナの機能から、呼吸法の重要性について

エネルギー

ヨーガの呼吸法は数々あり、どれがどんな効果があるかが明確には解明はされていません。

  • 体温を下げる
  • 免疫を上げる
  • 体重減少

これらの効果が呼吸法にあるなど疑わしいものもあります。情報に惑わされない方法は1つは、適切な知識をつけ、その上で体験することです。科学的根拠のための研究もなされていますが、特定の効果があるといえるのが少ないものです。

そこで今回は、【プラーナーヤーマ/呼吸法】の理解のためにはかかせない【プラーナ/生気・エネルギー・生命】についての解説を行っています。【プラーナーヤーマ】とは、【プラーナ】をコントロールして、身体をエネルギー次元で調和させていく方法とされています。

プラーナとは

【プラーナ/prana】は、あらゆる活動の動力因となるエネルギーを指します。エネルギーとは、創造し、保護し、時には破壊する力を持つものです。一般的な意味は、

  • 生気
  • 活力
  • 生命エネルギー
  • 気力、

あらゆるものの中にある根本的なエネルギーのことだとされています。

【呼吸法/プラーナーヤーマ】とは、これらのプラーナをコントロールするという意味があります。

  • pra/恒久性・不変を意味する接頭語
  • na/運動

2つの言葉を合わせて【サンスクリット語】であり、絶えずあちこち振動するような運動のことと考えられています。古代インド人も人間はエネルギーにより生きていると実感し、そのエネルギーをプラーナと呼んでいたとされています。生命を潤す力であり、人間の身体と精神の機能を請け負っているとも言えます。

プラーナには宇宙的なエネルギー面もあります。しかし、ほとんどの人では使われておらず、宇宙的なエネルギーはクンダリニーの覚醒により昇華されると言われています。

人間五蔵説において、プラーナーヤーマ・プラーナを扱うのは、【生気鞘/プラーナマヤ・コーシャ】です。

(※人間五蔵説については、以下ご参照下さい。)

【生気鞘】では、プラーナーヤーマは、肉体と心を繋ぐ手段としてアーサナと同様に重要な手段とされています。生気は身体内に張り巡らされている目に見えない【ナーディー】と呼ばれる導管の中を流れていると考えられています。ナーディーは身体内をまるで血管のように張り巡らされています。エネルギーがナーディー内を通って全身を巡るので、身体を調えるアーサナ、生気の流れる管を浄化する方法も非常に重要とされます。

(※ナーディについては、以下をご参照下さい)

プラーナの素となっているのが、5種類の粗雑元素です。【5種の粗雑元素/パンチャブータ】は、

以上の5つの元素です。全ての物質には、これらの5元素をその中に含んでおり、その中の1つが主要な元素としてプラーナを構成しています。

(※5大元素については、以下をご参照下さい)

5種のプラーナ/パンチャプラーナ

この世の全ての存在の基礎構造になるプラーナは、生気鞘の中では主に5種類の生気によって成り立っています。(実際は5種の補助生気も合わせて10種類の生気で構成されます)

  • プラーナ気
  • アパーナ気
  • サマーナ気
  • ウダーナ気
  • ヴィヤーナ気

5種類とは、以上であり生気鞘は5つのプラーナにより構成されています。

プラーナ気は心臓に、アパーナ気は会陰に、サマーナ気は臍輪より上部に、ウダーナ気は喉に、ヴィヤーナ気は全身にわたって動いている

【シヴァ・サムヒータ第3章7節】

プラーナ気

食物や空気中から養分を取り入れて肉体全体に連続的に補充しています。人は活動を続けていますので失われていくエネルギーを常に補充する必要性があります。【プラーナ気】は、頭から臍までの間で機能しています。そして火元素優位になっており、軽い性質があります。軽いということは上方に向かう性質を持つため、発声を補助したり、食べ物を胃へ送る働きを助けます。他には保温作用血液循環も補助する生気となります。

アパーナ気

老廃物の排泄の役割をしています。臍から会陰部(足の裏までとする説もある)にかけて機能しています。地元素優位で、重い性質あるため、物を下方に下ろすという作用があります。すなわち、排泄、生殖に関する精液の射精や月経液の排出、胎児を子宮から押し出す働き、腸内部での消化液分泌、呼気における二酸化炭素、また否定的な知覚感情などの除去といった役割までおこなっている考えられています。

サマーナ気

主に消化の働きをしています。水元素優位で重量もやや軽く、冷たいという性質。心臓から臍のあたりにかけて機能し、液化し、混ぜ合わせ消化過程で、胃や肝臓、十二指腸、小腸に消化液の分泌を促進させ消化を助け、消化吸収された養分を身体の各部分(神経組織や脳、心臓をも含む肉体全体)に分配します。よって、各内臓器官の機能を補助しています

ウダーナ気

臍から頭までにかけて機能しています。風元素優位の性質で、身体が倒れたりすることなく立っていられるようにさせたり、胃から食べたものを吐き出せたりするのが、【ウダーナ気】の作用とされています。人においてより高次な機能を担当しており、立つ、話す、努力、熱意や意思の成長をも支配している気とされている。このウダーナ気を支配することで、肉体が非常に軽くなるともされています。

ヴィヤーナ気

肉体全体にいきわたり、循環の役割を果たしています空元素優位の性質で、5つの気の中で最も軽い性質とされています。肉体レベルでは食物や水、精神レベルでは、感情や思考の循環を支配しています。知覚神経の働きを助け血液循環など他の全ての気のフォローをするのがこの【ヴィヤーナ気】です。

5つのマイナープラーナ

生気鞘中の【プラーナ】は、主に上記の主な5気でありますが、パンチャプラーナの補助的に働くプラーナも存在します。

  • ナーガ気:げっぷ、しゃっくり、吐出
  • クールマ気:まばたき
  • クリカル気:くしゃみと咳、渇き、飢え
  • デーヴァダッタ気:あくび、眠気
  • ダナンジャヤ気:死ぬまで全身に働く

生気鞘の中での作用過程

上記のように【パンチャプラーナ】は、生気鞘中で全身にエネルギーを分配して生命力を高めていきます。パンチャプラーナに従うと、プラーナ気が空気や食物から常にエネルギーを摂取し、サマーナ気が消化を助け、ヴィヤーナ気は栄養を全身に循環させ、ウダーナ気が善性のエネルギーを開放し、アパーナ気は様々な排泄を行って外部に放出し、身体内部だけでなく外界をも含め循環する構造となっています。

プラーナーヤーマの重要性

プラーナはエネルギーなので、自然と失われていきます。また身体の活動によっても多く消費する為、補充しなければなりません。食物も5元素から成り立っているので、食事からも摂取しますが、主な方法は【呼吸/プラーナーヤーマ】を通して体内に取り入れられます。取り入れられたプラーナは生気鞘中の微細なナーディを流れて全身に巡っていきます。呼吸は、プラーナの最も粗雑で人間が感知できるレベルと言われていますが、肉体を維持するためには非常に重要な行為となります。また【ハタ・ヨーガ】では、プラーナが身体から出ていくことを死と説かれてもいます。それだけプラーナは壮大な存在であるということになります。

まとめ

「プラーナーヤーマを適切に行ずれば、全ての病はなくなる。しかし、不適切に行ずると、あらゆる病が生じてくる。」

【ハタ・プラディーピカー第2節16節】

  • 【プラーナヤーマ】はプラーナを制御する方法とされ、呼吸法・調気法のプラーナヤーマを理解するためにはプラーナの理解が必要である。
  • ニュートンもエネルギーこそが、この全自然界の根本に横たわる基本構造であると理解していた。