【ヨーガ】を始めたいと思ってインターネットで検索すると選択肢が多すぎて、一体自分にはどれが合っているのか?と悩んでしまうことがあります。私もはじめて「ヨガをしてみたい」と散々調べた時に、アシュタンガ、アイアンガー、シヴァナンダ、ヴィンヤサ、パワー、フローなど違いがよくわからず、とりあえず手当たり次第レッスンに参加した経験があります。
結局、負荷量、スピードや頻度が異なる程度しか参加してわかることがなかったのが正直なところです。また理学療法士でありながらもクラスの雰囲気にのまれて、身体を痛めた苦い経験をしたこともあります。
どのプログラムが自分に合っていますか?と聞かれることがありますが、正直わかりません。合っているかどうかを決めるのは、本人ですし、インストラクターにもよります。最近はヨーガインストラクター養成コースが乱立していますが、アサナや呼吸法はマニュアル化されている為にどのインストラクターのセッションでもさほど変わらなくなってきている印象が個人的にあります。ヨーガ実習において、指導者の差がでるのは【瞑想】指導です。
しかし、ある程度の知識をもつことでプログラムに参加する意図が少し明らかにできます。そこで今回は、大まかにヨガの種類や流派を解説していきます。
ヨーガに何を求めますか?
最近は健康増進が非常に盛んになり、健康的な生活が1つのステータスとなり、職業となっている人たちすらいます。健康に努めることはとても素晴らしいことだと思いますが、健康とは一体何なのでしょうか?
健康も大きく分けて4つに分類されています。
- 肉体的
- 精神的
- 社会的
- 宗教的/スピリチュアル
スポーツジムに通えば、面白そうなプログラムがたくさんあります。あまたある健康増進運動からヨガを選んだからには何か理由があると思います。注意すべきは、運動をしようと思った理由とヨガを選んだ理由を分けて考えることです。もし健康増進でもなく、流行りのオシャレなヨガをすることが目的であれば、それに合った選択肢があります。SNS映えするような魅力的なヨガクラスもありますし、医療を補完するようなヨーガなども存在します。
「正しい目的を持つことは、正しい方法で行うのと同様に重要なことである」と言われるように、プログラムに参加するにも目標と目的を明確にしておくことは重要なことだと考えられます。
ヨーガの道
ヨーガは「経験の科学」と呼ばれ、5000年を超える裏付けとなる聖典や受け継がれた教えが存在します。その中から異なる教科書や指導者によって提唱された異なる学派が存在します。伝統的なヨーガの目的は1つかもしれませんが、そこに到達する方法はいくつもあります。登山の際に山頂に到達する為にいくつかのルートがあるのと同様です。難易度によっても異なりますし、適不適もありますのでその人にとって適した方法で実習すればよいと思います。
現代明らかになっているルートは以下の通りです。
- ギヤーナ・ヨーガ
- バクティ・ヨーガ
- カルマ・ヨーガ
- ラージャ・ヨーガ
- ハタ・ヨーガ
- マントラ・ヨーガ
現代のヨガはハタ・ヨーガの系統である
一般的に行われているヨガは、【ハタ・ヨーガ】に分類されます。
- アイアンガー
- アシュタンガ
- ヴィンヤサ
- シヴァナンダ
上記のインターネット上でよく目にするヨガも「ハタ・ヨーガ」の系統に含まれます。
ハタ・ヨーガとは
【ハタ・ヨーガ】とは、伝統的ヨーガに比べると新しいものとされてはいますが、それでも裏付けとなる教典から考えると起源は相当歴史のあるものです。インドの伝統では、タントラ(秘密教)を起源としています。聖師パタンジャリが編集した、【アシュタンガ・ヨーガ】のように心に重点を置いたヨーガと比較すると肉体志向のヨーガであるが、肉体だけというわけではありません。あくまで肉体を動かすことを通じて、ヨーガの究極目的である解脱や悟り、種々の感情からの開放に至ります。解脱も現代的には、西洋医学が求める理想的な健康像のことです。
以下が、ハタ・ヨーガの代表的な教典です。
- ハタ・ヨーガ・プラディーピカー
- ゲーランダ・サムヒター
- シヴァ・サムヒター
- ヨーガ・ラスナバリ
- ヨーガ・タラバリ
ハタ・ヨーガは身体面へ大きく効果をもたらし、身体的美容や健康を追求する手段として広く使用されるようになりました。ヨーガの1側面が強く強調されてしまっているということですが、このあたりはビジネスと強く接近している影響と考えられます。伝統的ヨーガに熱心に取り組む人たちは、現代ヨーガはもはやヨーガではないと言っているほどです。
しかし、ハタ・ヨーガの教典である「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」によると、
- 「ハタ・ヨーガは、ラージャ・ヨーガの準備段階である」
- 「ラージャ・ヨーガを理解せずにハタ・ヨーガのみに没頭する者たちは、努力を欠いた人物である」
上記のような記述があります。この様に身体志向のヨーガにおいても心の自己制御を最終目標とされ、ヨーガは心身の調和を求める技法かつ理想型でもあるということが示されていることになります。
まとめ
ヨーガによって得られるのは、心身の調和や自己制御能力と言われています。一般的なヨガクラスで行われている【ハタ・ヨガ】の系統も身体志向ですが、その先には心の自己制御へとつながります。王道のヨーガと呼ばれる、【ラージャ・ヨーガ】においても、「アサナは瞑想に備える準備段階である」とされ、自己に意識を置くためにも弛緩し、安定した姿勢を保つことが目標とされます。心を観察するのに同じ姿勢で坐ることに苦痛を感じていては集中することもできないので当然かもしれません。
初めてヨガをする場合は、一度参加してみないとどれが合っているかは正直わかりません。流派は気になるところですが、「誰の指導を受けるのか?」という視点をもってみると良いのかなと思います。冒頭でアサナの指導は誰がやっても同じと書きましたが、熱量や知識量の違いで異なる効果が得られるのは確かです。養成コースを修了していても厳しい修了試験のあるものや受講証明のようなものもあります。よって、国家試験のような最低限の基準の保障証明証とも言い難いのが一般ヨガの資格です。
初回に参加する時に、プログラムの参加目的や目標をアセスメントし、あなたの話を聞き入れ、インフォームド・コンセントを行える指導者につくことが一番大切なことかと思います。今ではホームページでメッセージを書いてくれている人もいますので、参考にするのはいかがでしょうか?