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本記事では、以下の解説をしています。

  • ヨーガ療法における病理論について
  • 病気の原因は2種類にわけられる
  • 病理論から考えられる病気へのアプローチについて
  • アプローチには、病理論が必要になる

統計

ヨーガがセラピーとして成立する由縁は、ヨーガでの人間観である【人間五蔵説に基づいて各鞘での乱れをアセスメントを行えることです。アセスメントを基に指導論から技法を選択していきます。当然ですが、ヨーガセラピーは、西洋医学上に成り立つセラピーと同様な過程を通じてアプローチします。アセスメントなしにセラピーは成立しません。

(※基礎になるヨーガの人間観である人間五蔵説については以下参照下さい。)

【人間五蔵説】に基づいて人を捉えるのですが、現代ではヨーガの教室に何かしらの病を抱える人が多数通っているといるという調査結果があります。そこで病気に対する捉え方を有していることがヨーガセラピストにも必要です。そこで今回は、ヨーガにおける【病理論】についてを解説していきます。

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ヨーガの人間の捉え方【人間観】

ヨーガでは、【人間五蔵説】を基に人間を捉えていきます。人間は5つの層にわかれていて、外側から順に以下のように呼ばれています。

  1. 食物鞘:肉体次元の鞘
  2. 生気鞘:エネルギー次元の鞘
  3. 意思鞘:感覚次元の鞘
  4. 理智鞘:認知に関する鞘
  5. 歓喜鞘:心からの喜び、記憶袋があるとされる鞘

西洋医学的診断でされる身体的評価(脳画像、CT等)は、感情・感覚状態、認知機能状態の把握に関しては適していますが、【理智鞘】とさらに深部の【歓喜鞘】の評価は困難であるのが現状です。しかし【ヨーガ療法】では、西洋医学情報とヨーガ療法独自の評価法をミックスして人間を捉え、介入していきます。ヨーガ療法では西洋医学では困難な【理智鞘】と人間の最奥層の【歓喜鞘】にも至る層を捉えていくことが可能とされています。

病気の考え方

【人間五蔵説】に基づいて、ヨーガ療法においては【病理論】では、病気は2種類存在すると考えられています。【理智鞘】における認知の誤り=無智さ】という基準から病気を捉えています。

  1. 無智さから生じない病気|外傷や感染症など(知的障害、脳障害等)
  2. 無智さから生じる病気|神経症、適応障害、心身症等

無智さ/アヴィディヤ−とは

アヴィディヤーとは、以下の言葉から成立する言葉です。

  • ア/否定
  • ヴィディヤ−/智慧・知識

ヨーガ・スートラには、以下の節があります。

「無智、我想、執着、憎悪、生命欲の5つが煩悩である。」

(ヨーガ・スートラ Ⅱ−3)

この順序が重要とされ、【無知さ】が他の煩悩の土台となります。自己への無智から我想/エゴイズムが現れます。

また以下に

「無智とは有限、不浄、苦、非我のものを無限、浄、楽、真我であると思うことである。」

(ヨーガ・スートラ Ⅱー5)

この節で無知さの説明していますが、「全く知らない」という意味の無知ではありません知らないではなく、誤った判断をしているという意味の【無智さ】という意味を指しています。例えば、人は誰しも死にます。命は有限であるが、あたかも無限のように錯覚することで死に抵抗し、煩悩が生じます。

よって、無智さとは、以下の意味を指します。

  • 【理智鞘】での認知の誤り
  • 物事の捉え方の間違い

病気発生のプロセス

歓喜鞘】の中にある記憶(citta/心素)からの影響や欲へのとらわれや【執着】から、【理智鞘】での以下の感情反応が生じてきます。

  • 判断誤り
  • 偏りを強め
  • 不安
  • 抑うつ感

これに続き【意思鞘】における感情の乱れ、【生気鞘】における呼吸・エネルギーの乱れ、最表面の【食物鞘】で肉体組織の乱れ、損傷を生じさせると考えられています。

これらが慢性化することによって【心身症】が発症すると考えられています。

(※心身症については、以下をご参照下さい)

つまり、理智鞘の認知間違い病気となり、セラピーのターゲットは【理智鞘】ということを意味します。

対症療法と根治療法

理智鞘の認知間違い病気という理論であれば、理智鞘/認知にアプローチしない限り病気を克服することはできません。理智鞘⇨意思鞘⇨生気鞘⇨食物鞘という過程で病気が生じてきている為、症状が出ている食物・生気鞘へのアプローチをいくら繰り返しても根本的な解決にならないことは理解できると思います。対症療法に過ぎないということです。世の中で求められているのは対症療法であるか根治療法のどちらかは明白です。

理智鞘をターゲットとしたセラピーでないということは、対症療法ということになります。しかし、外傷的な脳損傷には理智鞘ではなく、【食物鞘】へのアプローチが必須となってきます。病理論を基にどの鞘へのアプローチが必要かをアセスメントすることが、ヨーガ療法においても必須になります。

ヨーガ療法的アプローチ

ヨーガで用いられる技法は主に以下の技法です。

  • アーサナ
  • プラーナーヤーマ
  • 客観視
  • 瞑想

身体面へは、アーサナ/座法と調気法/呼吸法で、筋骨格系の調和呼吸やエネルギーの調和を図り、感覚次元の意思鞘へ介入していきます。

(※アーサナ/坐法の目的については、以下をご参照下さい)

意識化/awareness】を通して心的作用の制御を図っていきます。近年話題のマインドフルネス瞑想もこの意思鞘へのアプローチです

(※マインドフルネスについては、以下をご参照下さい)

意識化によって、以下の意味付けをすることなく観察していきます。

  • 感情
  • 思考

思考の暴走/マインドワンダリング】や感情に巻き込まれない冷静さを身につけることができます。並行して、【ヨーガ療法ダルシャナ/カウンセリング】や【瞑想】によって、生じている感情や思考の基になっている認知の誤りや偏りを探し、心理教育と理論学習により、これら認知の変容を目指していきます。理論学習のお題となるのが、様々な人生のコツやことわざが記された聖典です。

まとめ

  • ヨーガ療法は根治療法の1つとなりえる
  • 理智鞘の認知間違い=病気となる
  • 無知さを解決するには、意識化に基づく気付きが必要になる
  • 根本的な問題へアプローチするには、客観視、瞑想、聖典学習が必要になってくる