高齢化社会を迎えた日本では, 認知機能低下につれてケア実施困難となる高齢者が増加しています。
- 高齢化
- 核家族化
- 少子化
が社会問題である介護問題を招いています。
平均寿命が延びている中、健康状態に問題のない期間、いわゆる健康寿命の短さが問題となっています。今や健康寿命の延伸を目的とした、啓発活動が日本各地で行われています。
代表例が地域包括ケアシステムの構築です。
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日本の高齢化問題について
2015年にはベビーブーム世代が前期高齢者(65~74 歳)到達し、2025年には高齢者人口は約 3,500万人に達すると推計されています。
これまでの高齢化の問題は、高齢化の速さでしたが、2015年以降は、高齢者の数が問題となってきます。
ひとり暮らし世帯の増加
世帯主が65歳以上である高齢者の世帯数は、
- 2005年時点で1340 万世帯程度
- 2025年には、約 1,840 万世帯程度
に増加すると見込まれています。
また、2025年には、高齢者世帯の約7割を一人暮らし・高齢夫婦世帯が占めると見込まれています。中でも高齢者の一人暮らし世帯の増加が著しく、一人暮らし世帯は約 680 万世帯(約 37%)に達すると見込まれています。
また認知症患者については、2025年には約 320 万人になると推計され、要介護者の1/2は認知症の影響があると言われており、今後認知症高齢者は急速に増加すると見込まれています。
施設から在宅へ
在宅=安価という捉え方があります。
多くの高齢者を在宅で看ていくのが国の方針で、支える側の多大な努力が必要となってきます。
医療は、相手が理解し、納得して自ら選ぶことが基本ですが、そのケアに対し認知機能低下によって、自分の為に必要なことであるということが理解できない対象者の場合は、ケアへの抵抗があったり、十分な質のケアが困難になることも珍しくありません。
ケア側の理解や知識・技術の乏しさも問題ですが、介護者の待遇や過酷さ、社会的地位の低さから過度な人手不足も今後も大きな課題になっています。
しかし、このような状況下に何を、どのように行えば良いのかを具体的に学ぶ機会は限られており、結果的に現場で困難に直面した本人の経験や資質に依存した取り組みになっているのが現状です。
コミュニケーションの重要性
コミュニケーションは人と関わる上で絶対的なスキルです。
しかし、本質が理解されていないコミュニケーションが横行しているのも現状の問題点です。
ケア側は、「あなたは大切な存在です」というメッセージを言語的、非言語的なメッセージを送り続けることがケアの本質的なことです。そこには利用者という相手がいることを忘れずにいることが条件です。
コミュニケーションのコツについては以下をご参照下さい。
現場の条件に合わせて対応していくことは重要で、基本的スキルとともに、相手を想いやる気持ちを伝える技術の重要性があります。
参考になる介入として、ユマニチュードがあります。
老老介護と認認介護
加齢とともに身体が思うように動かしにくくなると、生活するには他者からのサポートを受ける必要性がでてきます。
しかし、介護者の高齢化の問題があります。
- 核家族化
- 地域との関係性の薄れ
- 社会的資源(人的)の減少
昔は身内がサポートしていたものが公的サービスを積極的に利用しなければ、生活ができないケースも増えてきています。
高齢夫婦の2人暮らしでは、高齢の妻が高齢の夫を介護するということが以前から問題でした。
介護の内容についても、
- 肉体的負担
- 精神的な負担
- 地域からの孤立
- 他者の助けを求めることへの抵抗感
- 身近に親戚がいない
などの問題が重なり、さらに老老介護の高齢夫婦が孤立しています。
さらに、
- 介護者不足
- 平均寿命延長により介護者側も要介護者となるリスク
- 認知症高齢者が地域で多数生活
- 要介護者同士の介護
この結果、認知症患者が認知症患者を支えるという構造となってしまっています。
認知症の場合、
- 記憶力
- 判断力
- 認識力
- 注意力
などの認知機能低下が顕著となってきます。
介護職が社会のセーフティネットになっている現代では、介護の質が低下することも容易に考えられます。
この影響によるかはわかりませんが事故、事件となる事例もニュースを賑わせてしまっています。
施設入所は難しい?
ニュースでは待機児童の問題がクローズアップされています。
介護現場でも施設入所に◯◯◯人待ちということはザラにあります。民間の高齢者施設は比較的入所しやすいのですが、本人の年金でまかなうことは難しく、家族の支援が必要です。
認知症対応型共同生活介護(=グループホーム)でも月約20万円程かかります。(※地域により異なります)
身内が多く、数人で負担できれば良いのですが、核家族化による家族の個人負担も増えています。
その場合、訪問介護や看護を受けながら、住み慣れたという文句のもとすすめられている在宅での生活することとなります。
あくまで在宅がいけないというわけではなく、選択肢の問題です。
自由に選ぶことができないのであれば、その人らしい生活と言うことができるのか?という疑問です。
親が40〜50代の世代も他人事ではない
介護と聞くと、70代以上の方が利用するイメージですが、決して他人事ではありません。
若い方でも、高度な後遺症を患い、生活に難渋している方はたくさんおられます。
例えば、40代の母親が脳出血により、1人では生活できない状態になった場合はどうでしょうか?
Q.介護生活では、生活に対する介護者の存在は必要です。身内の場合は誰が主な介護者となるのでしょうか?
- 介護者
- お金
の問題が出てきます。
一般的には年齢が高い(=年収が高い)父親が働きに出て、その子どもが家に残り介護を行う場合があります。
介護は長く続くものです。介護生活を中心に、在宅でできる範囲で働くことが求められる介護者の将来はどうなるのでしょうか?
介護者自身の望む人生もあるでしょう。
注意頂きたいのが、介護すると将来が暗いという意味ではありません。
繰り返します、選択肢の問題です。
自ら選ぶことができるとは言い難い状況に陥ることが、誰もがあるという意味です。
まとめ
- 自分らしい生き方には選択肢が必要
- 選択肢があると悩み葛藤がうまれる
- 制度や環境に依存していては、自由な意思で選択することが難しくなる
- 自分らしい生活スタイルを構築するには、制度に依存しない方法を考える
- IT活用は自らの選択肢を広げるチャンスになる