本記事では、以下について解説しています。
- 行動を習慣に変えていく方法について
- 問題行動への介入方法について
- 五感を用いた行動へのアプローチについて
- 【行動】の基礎知識について
人の行動を観察する方法として【ABC分析】という方法があります。
- 【先行刺激】
- 【行動】
- 【結果/後続刺激】
上記の各段階を状況とともに観察していく方法が【ABC分析】です。
(※ABC分析については、以下ご参照下さい)
【行動レパートリー】が備わった上で、【問題行動】の減らし、目的に適った行動へのヒントとなる【刺激】によって、適切な行動が出現するようなアプローチを実施していきます。その後、行動が安定して出現させていくための【先行刺激】への介入について解説していきます。
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問題行動
出現する行動については、社会的に問題行動とされるものに対して【行動変容】を促していく為にも【ABC分析】によって把握し、サポートしていくことができます。【行動】は行動主である人が選択し、実行しているので直接的に介入することは不可能です。行動を強制して変容させても行動主の【自由意思】に基づいた行動ではありませんので本来の意味での行動変容はできません。【問題行動】も【行動】ですので【目的】が必ず存在します。
(※【行動療法】においての問題行動へのアプローチについては、以下をご参照下さい)
【ABC分析】によって、行動の全体像を把握した上でより深く洞察していく必要性があります。人には【意思】という心の働きがあるので、心の状態がわからなければ的確にアプローチはできません。
(※【心】の本質については、以下をご参照下さい)
行動の中身について
- 感情
- 思考
- 行為
【行動】とは、これらの結果として表出してくるものです。よって、行動についての基礎知識を持っておく必要性があります。
(※行動については、以下をご参照下さい)
刺激モダリティの特徴
【モダリティ】とは、視覚、聴覚、触覚などの【感覚】を用いて外部環境を感知する【手段】を指し、感覚に働きかける情報伝達手段をも指す言葉とされています。
私たちの生活の中でシングルモダリティの状況はまずありません。常に多種な刺激が存在し、感知しています。これらの刺激が【先行刺激】となり、【ABC分析】から行動へのキッカケとなります。セラピーとして活用していく時に、視覚、聴覚、触覚、運動感覚刺激を用いていますが、それぞれの刺激の特徴について順に解説していきます。
聴覚刺激
【コミュニケーション】の上ではよく使われるのが、この【聴覚刺激】です。
デメリット
すぐに消えてしまい、【注意】がそれると行動は行われない特徴があります。
視覚刺激
人は情報収集を行う時には、主に【視覚】を用いています。
視覚は目の前の人の口調や表情の情報を無自覚的に集めています。それがしかめっ面などの強い感情刺激は、対象者にとっては【嫌悪刺激】となる可能性があります。【記憶】の上では特別な事実がなかったとしても、嫌悪刺激となる不快な感情は無自覚的にインプットされ、拒否をされるケースもあります。いくら言葉では暖かい言葉で伝えていても、視覚情報との不協和があると相手を混乱させることになります。セラピストとしても相手から観られているということを常に意識をする必要性があります。
メリット
- 文字
- 図
- 写真
これらの視覚刺激はいつでも確認でき、記憶への負担が少なくすみます。見通しをもたせる目的の刺激としてはたいへん有効な介入であります。
触覚刺激
人間関係を築く重要な方法に【ボディタッチ】は有効とされています。しかし、
- 触れる部位
- 触れ方
- タイミング
これらはとても大切であるとされています。
触れる部位による違い
触れる部位によっても、難易度が異なります。一般的に【Penfieldのホムンクルス】にあるように大脳へ伝達される情報がより少ない体幹や上下肢に触れることから始め、相手を驚かせずにコミュニケーションをとる方法が推奨されています。初めはいわゆる【鈍感な部分】【視覚的に確認できる部分】から触れるようにしたほうがよいと言うことです。鈍感な部分であっても背中は何をしているかもわからないので【不安】になります。歯科治療も同様で、敏感である上に何をしているかを確認できないので、非常に不快な感覚を覚え、歯医者嫌いの人は多いのではないでしょうか?人の情報収集の多くは視覚で行われますので、現状を把握するということでは、手足から触れるのが一般的です。
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触れるとつかむの違い
【触れる】とは、軽くくっつく、軽く接触するということです。それに対して、
【つかむ】とは、手にしっかりと握り持つ、強く離すまいとする行為。
あくまで大切とされる方法は【触れる】です。腕を持ち上げるときも下から支えて相手との接触面積を増やして触れる、【トータルタッチ】を意識することが大切です。
【※感覚刺激には【ユマニチュード】の考え方が参考になりますので、以下ご参照下さい。】
ポジティブルール
「もし○○ならば、●●になる」というプラスの結果、【ポジティブ】な方向性のある指示を送ることのことです。例えば、
- 「この運動を続けたら、血糖値が安定するようになりますよ」
- 「もし☓☓できなければ、○○できない」
後者の指示は、マイナスの結果、【ネガティブ】な指示を送る、【ネガティブルール】となります。
また、「自分で運動を続けないと、寝たきりになりますよ」という指示を【先行刺激】【ルール】と言います。
【ポジティブルール】は見通しを与えやすく、【ネガティブルール】は不安やいらだちを引き起こしやすいとされています。ネガティブルールには、どの行動で【強化刺激】が得られるかが明確に示されておらず、相手はどの程度すればよいかが全くわかりません。禁煙への【ヘルスプロモーション】においても、ネガティブルールよりもポジティブルールの方が継続効果が高いとされています。
【強化刺激】が与えられる条件を明示し、確認しておくことで、【行動】はスムーズに感情的な反抗合わずにすみます。また、【ルール】は、自分で作ったルールの方が守られやすいので徐々にクライエントの意思に基づいて決定していく必要性があります。
まとめ
行動分析では個人の認知には介入せず、【先行刺激】と【結果/後続刺激】への介入となります。そして行動主が自由な意思で判断しているという前提を理解しておく必要があります。決して指示するということがないように努めるべきです。それは非言語的表現において特に注意すべきことです。
- 各刺激の特徴や脳内での処理過程を理解しておくことで応用がきく
- 常に相手の意思と心の状況を観察できるようにも準備しておく
- コミュニケーション方法がうまくとれないと、関係性も築けない