本記事では、以下を解説しています。
- 何度も同じことを伝えているのに理解してくれない人について
- 循環論に陥る要因と連鎖を打ち切るコツ
日常生活を営む上で、人間関係は悩みの種になります。人は常に他者や環境から刺激を受けていますし、周囲には様々な人がいます。苦手な人もいるでしょうし、気の合う人もいます。同じことを言われても【誰が】発した言葉かによって、受け取る側の捉え方も異なってきます。信頼している人であれば素直に聴くことができるかもしれませんが、そうでなければ何らかの形で反抗されることになります。そこにいるのは、判断しているのは自分いわゆる【理智】の存在があることを忘れてはいけません。自らの【フィルター】を相手にかけていることに気づく必要性がありますし、自分のこだわりにも気づく必要性があります。気が合うか、合わないかは【自分の判断/理智】によるものなのです。
(※【理智】については、以下をご参照下さい)
【対人関係】において【信頼関係】は必須です。仕事場での関係性でもそうですが、特に【セラピー】の場合は、セラピストとクライエントは、常にある種の【カップリング】です。セラピストはクライエントの横に寄り添いクライエントの目標を整理し、うまく進んでいけるように交通整理する役割があります。
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個人と環境との相互作用
まず下の図を第三者の目で確認してみると
上段のように、【個人】にのみ焦点を当てると、個人が行動しているところしか見えません。では、少し引いた視点の下段の図をみてみると、個人と個人が行動を起こしている【外的環境】に目をやってみると、対象者は何らかの刺激を受けて、【応答/行動】し、さらに環境からの何らかの【刺激】を受けている様子が見て取れます。
下段では、【環境】から何か不快な刺激を受けて、環境を避けている様子に伺えますが、これは場合によっては異なります。日常の生活で誰かと関わっているのが下段が普通です。上段は【他者】や【刺激】を与える環境がなく現実的にはありえない状況です。【環境】とは、他者に限らず、自宅で1人であっても携帯やTVや【過去の記憶】をも含めて何らかの刺激を受けてもいます。現代では、バーチャルとリアルの境目が不明確になっていますので、より広い範囲での環境となっています。
(※人の行動を理解する方法【ABC分析】については、以下をご参照下さい)
例え:個人と環境の相互作用(リハビリ場面)
上段の図では、【患者】のみに焦点を当てて観察をした場合ですが、
- リハビリの運動の方法や負荷量が合わない
- 強い指示が繰り返し与えられ、どんどん感情的になってしまった
心の中に初めから、【意識欠如】【反抗傾向】【消極性】があるのではなく、
- これまでの行動パターン/【ライフスタイル】
- 当人独特の判断基準などを推測
- 無自覚的なレッテル貼り
以上の内容は避けるべき行動です。
これらは【クライエント】のみにしか視点を当てていないと陥りやすい問題です。その結果、クライエントの【拒否】や反抗を家族もしくはセラピストが生み出していることになります。目的が明確でないと見通しがなく、いつまで続くかもわからない【不快な刺激】ばかり与えられ続けると、反射的に抵抗したくなります。
【嫌悪刺激】が慢性的に与え続けられれば、その場面や登場人物(家族、医師、セラピストなど)までもが、不快な刺激となります。視界に入るだけで不安、緊張、苛立ちなどを生み出す存在自体が根源となってしまう可能性もあります。
(※【感情的反応】については、以下をご参照下さい)
良好な関係性の構築
カウンセリングやコーチングなどの場面で最も重要なのは、【信頼関係の構築】です。信頼関係なければ、どんなに優秀なカウンセラーやコーチでも【行動変容】や目標達成の援助をすることはまず不可能と言われています。
アメリカの有名なコーチ【Zig Ziglar】はこう言っています。
「あなたがどれだけ気遣っていてくれるかが
わかるまで、 彼らはあなたがどれだけ物知りかには、無頓 着です」
【セラピスト】にどんなに知識や地位があったとしても、相手に敬意を払い、「あなたのことを本当に考えている」ということをまず自ら示さない限り、相手が信頼してくれることはありません。
よって、信頼関係を築くコツは、「相手を信じること」であると言えます。
ある種の期待をしているというメッセージを相手に送り、相手を否定しないことも大切です。
教育心理学における心理的行動として、【ピグマリオン効果】があります。まず、相手に「私はあなたの言葉をしっかりと受け取っていますよ」という想いを【非言語メッセージ】をも用いて示すことです。
(※【非言語メッセージ】について具体的には、以下をご参照下さい)
テクニックはたくさんありますが、表面的なものは役に立ちません。表面的な技術よりもまず「自分の主観に頼らずに相手のことを考える」ことがコツです。【信頼関係性の構築】ができないと起こりやすい問題があります。
- 人に何かを伝える時に堂々巡りの会話となって、いつまでも話が進まない
- 部下に指摘する時に、言い訳ばかりされたり、嘘をつかれる
こんな会話のことを【循環論】といいます。
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循環論とは
【命題】自体の絶対的な説明が一切行われないため、何の論証も行なわない場合と同じことになります。従って、説明からは何の結論も得ることは出来ないような会話のことを指します。
- Aということを説明するために理由「B」を話す。
- Bということを説明するために理由「C」を話す。
- Cということを説明するために・・・
これらの会話は、長く続く会話のの割に結局は、どんなに熱心に話をしても「中身が無い」、「論理的でなくわかりにくい」話となってしまう傾向があります。上の図のように鎖の数は、少ない方が断然理解しやすくなります。【循環論】に陥ると、【注意する】【しかる】以外の解決法は見いだせなく成ります。その後も同様のことが続くと良い関係が形成できず、お互いが不快な思いをすることになります。
循環論に陥らないコツ
環境条件による【原因】と行動の【結果】の相互作用の摩擦を潤滑にするため、セラピーでは、【行動】【プロセス】に正の関心を示し、環境調整に努め、環境との相互作用へのアプローチが求められます。これによって、【感情的な反発】を軽減させ、お互いが不快な思いをせず、セラピーとしても善い方向に進んでいく可能性が上がります。よって、【循環論】に陥る原因は、関係性ができていないことであると考えられます。
では、なぜ関係性ができないのでしょうか?
会話の中で相手の主観を否定し、知らず知らずのうちに、自分の【主観的解釈】を押し付けると【循環論】に陥りやすくなります。これはどちらかが悪いわけではなく、この関係性はお互いで作り上げているという理解が必要です。たった2人の関係性であればまだ理解しやすいですが、現代様々な【環境刺激】があります。集団を避け、人と協力するのが不得意な人が増えてきています。現代の【成果主義】【個人主義】の独特な解釈によって、他者と特別な関係性を形成しようとしない人も増加していますが、昔から変わらず誰かと【協働】するしか人は生きていくことができません。人との関係性を避けずに、【交友のタスク】に関わる勇気をもつことが勧められます。
まとめ
- 対人関係には【信頼関係】が必須である
- 【悩み】は、ほとんど【対人関係】
- 仕組みを理解するだけでも、客観的にみることができる
- 困る前に、より広い視野で状況を客観的に観察するクセをつける
- 信頼関係を築けない場合は、【循環論】に陥る
- 【循環論】とならない為には、相手の【価値観】を尊重する