yogaに興味を持って知識を深めていくと、「チャクラ」という考え方がでてきます。
スピリチュアル要素や宗教的なイメージが強くて、正直毛嫌いしてしまう方もおられるのではないでしょうか?チャクラというワードが出てくるだけで胡散臭くもなってきたりもします。しかし、実は科学的な観点からも読み解ける理論であることはあまり知られていません。
そこで今回は、伝統的なチャクラシステムについて、yogaではどのような仕組みになっているか、基本的な知識を解説していきます。チャクラを知ることで、人間の心と身体とのつながりを理解も深まるでしょう。
チャクラとは
「チャクラ/CHAKRA」は、「車輪、円、回転、群れ、多数」などの意味を持ちます。
人の全身は「プラーナ/生気」というエネルギーで満たされており、(私たちでは、神経や血管をイメージすると理解しやすいかと思います。)そして、このプラーナは「ナーディ」という導管の中を流れており、そのエネルギーが集中するエネルギーセンターの役目がチャクラです。
チャクラは、人体の全体に行き渡るプラーナの循環をコントロールしています。神経の中枢である神経叢と同様に扱われますが、厳密には異なり神経叢は肉体レベルの粗雑な存在であり、チャクラは微細な存在で異なると考えられます。
どこにあるのか
チャクラは脊柱内部の脊髄に存在すると考えられています。脊髄には知覚神経や運動神経が通り、これらを通して知覚や運動を身体全体を伝達する役目をしています。「イダー」「ピンガラー」「スシュムナー」の合流点に中枢が存在します。脊髄の尾てい骨部から頭頂までの間に通常は6〜7つのチャクラが存在します。これを「シャッド・チャクラ」と呼びます。
シャッド・チャクラ
通常は6つ、そして厳密にはチャクラに含めない「サハスラーラ・チャクラ」があります。脊柱の下部から順に、
- ムーラダーラ・チャクラ
- スワディシュターナ・チャクラ
- マニプーラ・チャクラ
- アナハータ・チャクラ
- ヴィシュッダ・チャクラ
- アジュナ・チャクラ
ムーラダーラ・チャクラ
- 尾てい骨、会陰部
- クンダリニーが眠るとされる
- 色:赤
- 蓮華:4枚
スワディシュターナ・チャクラ
- 尾てい骨
- 色:オレンジ
- 蓮華:6枚
マニプーラ・チャクラ
- 太陽神経叢
- 臍の後ろ
- 力強さ、支配力、自己主張を意味する
- 色:黄色
- 蓮華:10枚
- 意識がこのレベルまであがると、ストレスや緊張から解放される
アナハータ・チャクラ
- 心臓の後方
- 色:緑
- 蓮華:12枚
- 感情、無条件、共感、無私、愛情、献身を意味する
生理学的には、心臓・肺・血液の循環に関わり、免疫や内分泌系に関係するとyogaでは考えられており、アナハータ・チャクラの機能が崩れることにより、愛情に関する問題や心臓、胸腺が関わる免疫系の問題が生じるとされています。
ヴィシュッダ・チャクラ
- 「SHUDDHA/純粋」に強調の「VI」が引っ付いた言葉
- 喉の後方
- 純粋意識
- 色:水色
- 蓮華:16枚
- 2極の対立感情をも超えた純粋意識により、公平な判断がなされる
- 甲状腺や肺に関連する
アジュナ・チャクラ
- 額、眉間の奥
- 第3の目、松果体
- 師匠であるグルからの「AJINA/命令」に気づきを得る部位
- サハスラーラへとつながる扉となるチャクラ
- 蓮華:2枚
- 中枢神経系へとつながる
- チャクラ低下によるマイナス思考、過活性による妄想、幻覚が生じる
サハスラーラ・チャクラ
- 頭頂部
- 最も神性なチャクラ
- 色:紫
- 蓮華:1000枚
- クンダリニーの活性化した際に到達するチャクラ
これらのチャクラの機能は、科学的には証明されていないホルモン分泌であったり、内分泌系への作用もあるとされています。
グナの性質による分類
人の心の性質として、「トリグナ理論」があります。シャッド・チャクラを心の性質によって分類します。
タマス
- ムーラダーラチャクラ
- スワディシュターナ
非道徳的な行動で、本来の性質とは異なる不調和な性質
ラジャス
- マニプーラ
- アナハタ
ポジティブとネガティブの混合した様な活動的な状態
サットヴァ
- ヴィシュッディ
- アジュナ
善性/肯定が優位な心の状態であり、行動も理法的
タマスからサットヴァへ進んでいくことは、よりスピリチュアルな面での向上を示し、より内外部への調和する肯定的な関係性の進展を表しています。
各チャクラにおいても、個人差は当然ありますが、全てサットヴァへと進行していくプロセスをチャクラシステムが示しています。よって、チャクラシステム=心の理解につながるということになります。
チャクラの2つの役目
チャクラは、プラーナの循環と「気づき・意識」の2つの特徴があります。プラーナの循環に関しては、上記していますが、意識や気づきに関しては、シャッド・チャクラ理論から考えると、潜在的で神秘的なクンダリニーというエネルギー源を上方のチャクラ、最終的にはサハスラーラ・チャクラに到達することで、究極の意識=現実を正しく認知することができるとされています。
チャクラと蓮
蓮は様々な象徴として使用されますが、チャクラ理論においても無智から気づきまでの人間成長のプロセスを花びらと色で表します。泥の中という無智の状態から、「努力/タパス」によって、水中で茎を伸ばし、空気中に達し、開花に至るという人の成長のプロセスを表しています。
まとめ
チャクラという言葉は、神秘的要素が強いのは1つの側面です。アニメや根拠のない占いみたいなものの印象が強く影響しているのではないかと思います。しかし、心を観察する1つの基準や進捗をアセスメントするツールとしての側面もありますので、チャクラに限らず、視点はいくつも持っている方が人間関係を築いていくにも重要だと思います。