手

本記事では、以下を解説しています。

  • 社会人基礎力として必要な3能力について
  • 3能力をさらに12要素について
  • チームで必要なコミュニケーションについて

チーム

セラピストに求められる能力として以下のスキルがよく取り上げられています。

  • 専門力
  • 社会人力
  • 人間力

これまで医療従事者は、病院の中で専門性を発揮することが求められていましたが、現代の高齢化によって地域での医療的ニーズや在宅療養のために地域での活躍が期待されています。

(※これからの理学療法士にもとめられる能力については、以下をご参照ください)

地域で働いていくと、対象者は同じでもチームの構成メンバーが異なってきます。介護保険下で働くとなるとケアマネージャーとの連携は必須になりますが、一番の弊害は共通言語を持ち合わせていないことです。医療従事者のアンケートでも、介護保険下で一番連携の取りにくい職種にケアマネージャーがあげられます。

求められると言われると、自分が変わらないといけないから窮屈な感じは受けますが、職場や地域社会で様々な人々と仕事をしていくのには必要な能力です。何よりもクライエントや患者さんのために、円滑なコミュニケーションをとれることがとても大切な能力だということが理解できると思います。

特に社会人基礎能力として3能力/12能力要素が必要とされています。

[ad#ad-1]

社会人基礎力

社会人基礎力は「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成され、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年から提唱しています。

引用:経済産業省HP

社会人基礎力は以下の3つの能力から構成されています。

  • 前に歩み出す力:アクション
  • 考え抜く力:シンキング
  • チームで協働する力:チームワーク

この力は、人としての基本的な人間性という土台の上に成り立ちます。

  • 読み書きや算数、ワード・エクセルなどをIT基本スキルなどの基礎学力
  • 仕事に必要な専門知識(運動学、プログラミング、栄養学等)

この両者を活かす力として非常に重要な力と位置づけられています。現代は社内だけでなく、人のつながりやネットワークが多様化し、いつ・どこで・誰と組んでも適切なコミュニケーションなしにはスキルを十分に活かすことはできません。自分と相性の良い人だけと組むことも確かにできるかもしれませんが、選択肢が狭まり、最大限にスキルを活かして、個人の目標、社会課題を解決していくことは困難です。

パートナーを自由に選べる人は限られています。「なんでアイツと組まないといけないいんだ!」と思わなくていいように、また思われなくてもすむようにしていきたいものです。無駄を無くしてスムーズに、1伝えれば10理解して行動に移していけるような理想的な関係構築によって、お互いストレスフリーで目標到達への最短距離を進む条件とも言えます。そのためには自らも相手を尊敬し、自分を信じて研鑽していく必要性があります。

3つの能力

12要素を大きく3つに分類することができます。

3つの能力とは、

  • アクション
  • シンキング
  • チームワーク

3能力どれかが秀でても効果的に実力を発揮することは困難で、バランスが非常に重要です。私自身も秀でた特殊なスキルがあるわけではなく、昔から自称「ミスター平均点」と言えるくらいな人間です。

  • 特に目立つ方でもなく、暗いわけでもなく
  • 友人が少ないわけでもなく、人気者なわけでもなく
  • 勉強ができるわけでもなく、成績が悪いわけでもなく

皆さんの周りにいる普通の人間です。しかし私は、周囲の人には非常に恵まれているとは感じています。この世は自身の心の合わせ鏡とも言われ、心の状況があらわしています。

コミュニケーションは、

  • 思考
  • 感情
  • 行動

人の中の3要素を正確に相手に伝える手段とされています。

円滑なコミュニケーションに必要な3つの能力を順に紹介していきます。

アクション

「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」という意味で用いられます。

どの分野にもパイオニアとなる存在がいます。強い意志があり、道なき道を歩んでいった偉人たちのようになることを求めているのではなく、少しの一歩でも進んでいく勇気のことです。世間一般の常識にとらわれることなく、成すべきこと、世の中に必要なことを追求していき姿勢が必要になっていきます。

先行き不安なことを実際にやってみると、「案外簡単だった」と思った体験が皆さんいくつかあると思います。その積み重ねが自信になります。見通しのわかっていることは、本来ありえません。どんどん行動ができる人は、積み重ねにより自信があるので、少々トラブルがあっても動じない心を持ち合わせているということだけです。

さらに細かく3能力が求められます。

  • 主体性
  • 巻き込み力
  • 実行力

主体性

物事に進んで取り組む力

巻き込み力

自らが渦の中心となり、他者を巻き込んで行動していく力

実行力

目的を設定して、着実に行動していく力

シンキング

「疑問を持ち、考え抜く力」という意味で用いられます。

クリニカルリーズニング臨床推論という言葉が、医療の中では非常に重要な思考です。セラピーでは、「評価は診察室やリハビリ室に入ってきたときからはじまっている」と教えられます。動作観察をする場合は、「さぁ、歩いてみて下さい」という掛け声で、クライエントは「よく見せよう」とよそ行きの歩き方をしてしまい、日常で実際にしている歩行が観察できない場面が多々あります。よって、相手が自覚していない動き方や考え方に問題がある場合が多いので、少し気を抜いている場面の観察のほうが重要となります。

クリニカルリーズニングとは、以下を指します。

「対象者の訴えや症状から病態を推測し、対象者に最も適した介入を決定していく一連の心理(認知)的過程」

  • 何故そうなったのか?
  • だからどうしたのか?
  • WHY?
  • So what?

を繰り返すということです。

人間には、以下のような心理的なクセがあります。

  • 確証バイアスに弱く
  • 自身の論理を証明するような行動をとる

自分が正しいと言えるような根拠ばかりに目をやり、正当化したくなります。この思考がわからなくもないのですが、常に中立的な態度、いまの視点に軸を置いたニュートラルな視点を保つということが重要です。

特に以下の3要素が重要視されます。

  • 課題発見力
  • 計画力
  • 創造力

課題発見力

現状分析し、目的・課題を明らかにする力

計画力

課題解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力

創造力

新しい価値を生み出すクリエイティブな思考

チームワーク

「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」という意味で用いられます。

様々な価値観の人がいますし、職業倫理があります。現代は単一の専門性やスキルでは、解決できない問題・課題が山ほどあります。時代は、1つの専門に秀でたI型人間よりも、深い専門性を持ちつつ、広い視点をもったT型人間を求めています。個人ができることは知れていますが、うまく機能したチームには計り知れないパワーがあります。

リハビリテーションで目的とするのは、全人的復権です。この目的の為に現在の医療モデルにおいて意思決定は患者中心に行われます。チームワークには、ストレスコーピングを加えた以下の6要素が重要とされます。

  • 発信力
  • 傾聴力
  • 柔軟性
  • 状況把握力
  • 規律性
  • ストレス・コントロール力

発信力

自分の意見をはっきりとわかりやすく伝える力

傾聴力

相手の意見を丁寧に、否定することなく聴く力

柔軟性

意見の違いや立場の違いを理解する力

状況把握能力

自分と周囲の人々や物事の関係性を理解する力

規律性

規律ある行動に努める力

ストレスコントロール力

ストレスの発生源に対応する力

自分の意見が絶対正しいと主張ばかりしていれば、チームはバラバラになります。そして孤立していくでしょう。その結果、クライエントに悪影響が出てしまうと本末転倒です。チームワークで大切なのは、間違いなく全体性です。しかし、目標とするものがなければ、人は進んでいくことはできません。常に目標を忘れずに、心に抱いておくことが大前提として大切です。

(※セラピストを選ぶ時の注意点については、以下をご参照下さい)

まとめ

  • 専門性だけでなく、チームを組むにはコミュニケーションが必須
  • チームには、明確な目標共有が重要
  • チームワークで大切なのは、全体性そして目標を見失わないこと
  • 各個人がぶれないように客観性のある行動を心がける